<大相撲九州場所>◇4日目◇18日◇福岡国際センター

 土俵でのトラブルが続出した。幕内序盤に山本山(25=尾上)が猛虎浪(25)の送り出しに、自ら歩いて土俵を割るような形で敗れ、放駒審判部長(61=元大関魁傑)が激怒。大関日馬富士(25)が関脇鶴竜(24)を押し出した後、右肩でダメ押しの一撃を見舞い、館内からヤジられた。さらに3役格行司木村玉光(59)が、豪栄道(23)に送り出された大関千代大海(33)とともに土俵下に落下するハプニングもあった。朝青龍(29)白鵬(24)の両横綱と平幕嘉風(27)が4連勝した。

 館内を大きなため息に包んだのは、人気者の山本山だった。猛虎浪の動きについて行けず、いなされて後ろに回られたところで自ら土俵を割ったような相撲。右ひじを痛めており「引っ張られた感じでビリッ来て、痛くて残す余裕もなかった」と反省したが、土俵下の放駒審判部長は怒った。

 「あきらめたんだろう。どんな形になっても勝負をあきらめるのよくない。けが?

 土俵に上がったら理由にならん」と怖い表情で叱責(しっせき)。故意の無気力相撲の防止、監察などにあたる監察委員会の委員長、友綱理事は「報告はないので、今日のところは注意はしない。またこうしたことがあれば」と、厳しい目を向けた。

 後半戦で館内を騒然とさせたのが日馬富士。鶴竜との激しい攻防で押し出しに破ったが、鶴竜が土俵に出た後、右肩でドンと胸を突き、土俵下に落とした。館内から「ダメ押しするな!」のヤジが飛んだ。日馬富士は「勢い」と釈明しながらも「(相手が)引いてばかりで失礼だなと思った。腹が立ったわけじゃないけど、ちょっと熱くなってしまった」。土俵下の高砂審判長は「流れだろう。最後まで力を抜かずに勝負しているので余裕がないというか。注意はしないでしょう」と不問にふす考えだ。

 その3番後には行司の木村玉光が豪栄道に送り出された千代大海をよけきれず、一緒に土俵下に転落するハプニング。最後は、横綱朝青龍まで時天空を押し出した後にダメ押ししたような体勢になり、場内がざわついた。武蔵川理事長は「(日馬富士は)よくないね。(山本山は)あの体じゃ、動きが取れなくてあきらめたと見えるのかも。(どちらも)よくないなら審判部から注意するでしょう」と話した。ここ3日間、観衆3000人台の今場所。「ハプニング」が目立っては、低迷脱出には結びつかない。【赤坂厚】