日本相撲協会は24日、初場所(来年1月11日初日、両国国技館)の新番付を発表した。九州場所を新三役で勝ち越した西関脇逸ノ城(21=湊)は、目標を上方修正して2桁勝利を宣言。大ブレークした今年のえとの午(うま)、来年の未(ひつじ)はいずれも故郷モンゴルでなじみの動物とあり、験のよさにもあやかり史上最速の大関昇進を見据えた。

 「初場所は2桁勝てるように頑張っていきたい」。逸ノ城は迷いなく答えた。注目度の高さは相変わらず。埼玉・川口市の湊部屋には報道陣約30人が集まり、ファストフードの「ケンタッキー・フライド・チキン」からチキン100本の差し入れも受けた。そんな中、先場所の苦境を乗り越えた自信が言葉に表れた。

 11月の九州場所前には、帯状疱疹(ほうしん)の影響で入院を余儀なくされた。出稽古も回避し、体調が万全でない中で臨んだ本場所では苦しんだ。8日目で栃煌山に負けた時は、内容も精神状態もどん底で「勝ち越しは無理だと思った」。それでも8勝7敗で、新三役の座を守り抜いた。冬巡業後は精力的に出稽古し「当たりが大事」と課題の立ち合いを克服中。好物の甘い物も控え、200キロ超の体重の減量にも取り組むなど、成長過程にいる。

 まだ「夢」と例える大関の地位。だが名古屋場所までに昇進となれば、大鵬を抜く最速記録だ。そのためにも「やっぱり、立ち合い。(できれば)自信はある」と言い切った。今年のえとの午(うま)に続き、来年は未(ひつじ)年とあり「(モンゴルで)いつも一緒にいた。来年も良い年になるように頑張りたい」。逸ノ城フィーバーは、まだまだ続きそうだ。【桑原亮】