DeNA対阪神 4回表阪神1死三塁、マウンドへ向かった三浦コーチは石田(右)と話す(撮影・加藤哉)
DeNA対阪神 4回表阪神1死三塁、マウンドへ向かった三浦コーチは石田(右)と話す(撮影・加藤哉)

CSファーストステージという超短期決戦では、ミスの積み重ねで失った流れを取り戻すのは困難になる。DeNAに象徴的な試合となった。

7回無死一塁で伊藤光の送りバント失敗。結果論になるが、決めていれば前打席で適時打の柴田に得点圏で回っていた。エスコバーにも代打を送り、回またぎにならなかったかもしれない。直後の8回1死一塁の守備でも投ゴロで併殺打を取れずに、逆転の3失点につながった。

初回の3点先制後の無死一、二塁も疑問が残る。伊藤光に強攻をさせた。考え方は十人十色で、選手の力に委ねるのがペナントでのスタイルかもしれない。だが犠打で送って次の1点を狙う姿勢を示すことも短期決戦では大事だ。1~5番まで個々の能力が高いため、戦術的に動きにくいが、打力の落ちる6番以降はベンチが導くことも必要だ。

DeNAのミスを突いた阪神は終盤6連勝の勢いと捉えられがちだ。だが若手の確かな成長が見られる。初回2死一、二塁で大山が初球の真ん中直球を見逃した。これまで、まず直球は振りに行くタイプだった。だが前のマルテが四球で歩き、相手バッテリーが変化球で様子を見ると踏んでのタイミングの取り方で考え方としては理解できる。打席の中での戦略性が感じられるようになってきた。

私も中日での現役時代、09年CSファーストステージのヤクルトとの初戦で追加点を狙ったスクイズを失敗。流れを失った一戦で逆転負けした。次の試合も流れを取り戻すのに苦労し、自分で本塁打も放ったが、仲間の総力で吹っ切った。今永の中継ぎ起用など途中までプラン通りに進めていたDeNAも初戦敗戦は痛いが、選手の真価が問われる2戦目となる。(日刊スポーツ評論家)

DeNA対阪神 DeNAに逆転勝ちし、ハイタッチを交わす北條(中央)、藤川(中央右)ら阪神ナイン(撮影・鈴木みどり)
DeNA対阪神 DeNAに逆転勝ちし、ハイタッチを交わす北條(中央)、藤川(中央右)ら阪神ナイン(撮影・鈴木みどり)