ここにきてどのチームからも危惧された故障者がでてきた。それと投打や守備のすべてがきめ細やかさに欠け、雑な試合が目立った。それがわたしが開幕から一回りしたペナントレースをみてきた印象だ。

曲折の末、3カ月遅れの開幕になった。実戦不足は明らかで、いざ本番になると、体の使い方が違ってくるから体に支障が生じる。故障者が目につくのは、いかに調整が難しかったかを証明している。

無観客の試合で選手たちは通常のように盛り上がれない。だからチームに勢いがつきにくいのかもしれない。よって大型連勝、大型連敗が少ない。だからこれから上下が詰まってくる可能性もあるとみる。

阪神、巨人のどちらもリリーフに不安がある。阪神は「8回」が埋め切れない。本来はスアレス、藤川の勝ちパターンも、わたしにはスアレスは8回より、もう少し前で用意したがっているようにもみえる。

巨人はデラロサの故障離脱が痛いが、こちらは打力がものをいう。特に中島が機能しているから、さまざまな組み合わせができる。原監督の厳しいコマの使い方も、選手に刺激を与えているようだ。

注目の阪神ボーアは、広島の攻めが甘かった。今は“攻めどころ”がみえる。最初に内角を突かれ、現状は肝心の外寄りの球を打てない。再び4番起用できるまでになるのが理想だ。

両チームに共通するポイントは「先発力」。阪神は巨人打線を6、7回まで2、3点に抑えたい。勝率5割には遠い。まずは相手チームを意識するより、自軍の戦い方を整えることだ。(日刊スポーツ評論家)

巨人中島宏之(2020年7月1日撮影)
巨人中島宏之(2020年7月1日撮影)