力投する中日先発の大野雄大(撮影・森本幸一)
力投する中日先発の大野雄大(撮影・森本幸一)

中日大野雄大投手(31)が、球団タイ記録となる5戦連続完投勝利を飾った。直球、ツーシームが抜群のキレ味。5回2死まで広島打線をノーヒットに抑えるなど2安打で、球団では08年吉見以来の2戦連続完封の力投だった。

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中日大野雄が見事な完封勝利を飾った。連続完投勝利のかかる試合だったが、序盤は早いテンポで広島九里との投げ合い。中盤に内野ゴロで1点ずつ奪い、大野雄は終盤まで余計なことを意識せず、無失点を続けることだけを考えて自身の投球に専念できたはずだ。完投勝利につなげるには理想的なゲーム展開となった。

もちろん投球内容は文句のつけようがないほど素晴らしかった。直球の威力は抜群でフォークがより生きる。広島の打者にまともにバットを振らせず、強い打球は4回、ピレラの遊ゴロと5回の会沢の三直と完璧な完封劇だった。

これで私も含めた球団記録に並んだそうだが、投手起用に関する考え方が基本的に違う。ボールやバットなどの道具の質も違うが、なにより違うのは打者のパワーだ。当時はどのチームでも1、3、4、5番打者を警戒すればよかったが今は下位も含めて息を抜けない。先発投手は6イニングを投げきることが基準となった時代に5試合続けて完投勝利できる大野雄は率直にすごいと思う。

プロ初勝利をあげた12年には投手コーチを務めた。元々よかった球持ちの長さに加え、コントロールがよくなり、打者はボールを探している印象を受ける。ただ大野雄の特長、原点はあくまで荒々しさにある。現状、セ・リーグではスケールの大きさも含め巨人菅野に匹敵する存在になりつつある。長所を忘れず、さらに上を目指して欲しい。(日刊スポーツ評論家)

◆権藤氏の61年 入団1年目で69試合に登板し、35勝19敗。5連続完投勝利は6月21日の国鉄戦から7月8日の広島戦で記録。この間の3完封を含めシーズン12完封。429回1/3を投げ32完投で310奪三振と先発、リリーフでフル回転した。

5試合連続完投勝利を決めドアラとポーズを決める大野雄大(左)(撮影・森本幸一)
5試合連続完投勝利を決めドアラとポーズを決める大野雄大(左)(撮影・森本幸一)