西勇のピッチングは、いつもより梅野のサインに首を振る機会が多いなという感じで見ていた。よく相手打者を観察していた証拠だろうね。
もともと両サイドに投げ分けるタイプで、特に走者を背負ったところでは、ほとんど高めに抜けるボールがなかった。西勇らしいピッチングだったといえる。
これで今シーズン6勝のうち、3勝までが広島戦。この数字が示すように、広島サイドは苦手意識を植えつけられてしまっているようだった。
「広島野球はどこにいった?」と考えさせられる攻撃も目についた。3点を追う7回。菊池涼の二安で無死一塁、続く3番長野が3-2から遊ゴロ併殺に倒れた。
広島側からすると、動かないのか? 動けないのか? 今までの広島野球なら、全員で西勇を攻略にかかっていったはずだ。それなのに打者任せの攻撃は考えにくかった。
一方、阪神の攻撃は、サンズさまさまだ。今は4番サンズにつなげば打ってくれる、何とかしてくれるといったムードがチームにある。阪神はサンズが打った、広島は鈴木が打てなかった。その差だった。(日刊スポーツ評論家)