阪神の沖縄・宜野座キャンプを視察中の日刊スポーツ評論家・中西清起氏(58)が、離脱者が相次ぐ投手陣でチェン・ウェイン(35=ロッテ)とドラフト2位伊藤将司(24=JR東日本)をキープレーヤーに挙げた。

高橋遥人(25)の負傷で左腕は手薄。ともに対外試合初登板となる28日のヤクルト戦(浦添)が今後を占う重要な一戦とした。【取材・構成=田口真一郎】

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開幕ローテーション争いの行方を占う意味でも、28日のヤクルト戦に注目している。高橋が右脇腹の負傷で離脱。右の先発候補には、西勇、秋山、青柳、藤浪、ガンケルがいるが、左は手薄だ。先発6人を考えた時に、左腕2枚はほしい。チェン、そしてドラフト2位の伊藤将は首脳陣も計算に入れているだろう。

ブルペンで投げ込む伊藤将(撮影・上山淳一)
ブルペンで投げ込む伊藤将(撮影・上山淳一)

伊藤将は25日の投球練習を見たが、右打者の内角、いわゆる懐をつくボールに角度があった。もう少し体重が前に乗っていけば、球の持ちも良くなるが、どちらかというと、あまり体重移動しないで投げるタイプだ。投球フォームは、横浜高校の先輩である成瀬のようなイメージ。真っすぐで胸元を攻めながら、どう封じていくかは実戦を見てからになる。ブルペンでは、いい感じで投げていたし、大学、社会人出とあって、1年目から活躍してもらわないといけない存在だ。

伊藤将のような新人の場合は開幕にうまく向かうためには、結果を出させるような首脳陣の配慮も必要だ。初の対外試合ということだが、先発で使うのではなく、2番手以降、相手の主力打者がベンチに下がった後や打順の巡りを考慮して投げさせるべきだ。もちろん、その後は先発で起用することになる。彼が出てこないと、先発編成は苦しくなる。長いイニングで適性を見せられなければ、中継ぎ調整している岩貞との配置転換も視野に入れなければならない。

ブルペンで投球するチェン(代表撮影)
ブルペンで投球するチェン(代表撮影)

この日はチェンの投球をチェックしたが、打者の手元で伸びる球は健在だ。中日時代に比べると、スピードは落ちているが、実績のある投手。1年通して投げられるかは疑問だが、来日の遅れているアルカンタラや高橋の穴を埋める役割を果たせばいい。体調面を考え、シーズンでは先発で6回まで、と区切った起用がいいだろう。

先発投手の相次ぐ離脱で、外国人の登録は投手重視になるはずだ。守護神スアレスに、セットアッパーのエドワーズ。先発でチェン。日本人の調子が上がらなければ、ガンケルも1軍メンバーに入る。野手はサンズ1人で開幕を迎える可能性もある。いずれにせよ、チェンと伊藤将のオープン戦での結果が、チームの開幕構想に大きな影響を与える。