ロッテ佐々木朗希投手(19)がプロ初勝利を挙げた。日刊スポーツ評論家の山田久志氏(72)がプロ2年目の怪物右腕の投球を解説した。

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プロ初勝利をあげた佐々木朗が日本球界を代表する投手に育つ可能性を秘めているのは確かだ。また今後も取り組むべき課題が多いのが分かったマウンドでもあった。

佐々木朗をみたのは1年前の2月27日、オリックス宮崎清武キャンプでのこと。オリックス臨時コーチを務めていたわたしは、ロッテが練習試合に訪れたブルペンで投球をみた。

初めて捕手を座らせて投げた日で、フォームに無駄な動きがなく、ボールさばきが良かった。この日、甲子園で阪神戦に先発した佐々木朗のフォームは、1年前に受けた印象と変わりはなかった。

現段階で投球フォームに欠点は見当たらない。5回を投げて4失点。1点リードの2回裏には、阪神のルーキー佐藤輝に左前に同点打を浴びる。この一打をはじめ許した7安打は、すべてストレートだった。

「投手対打者」の勝負からいうと、わたしがみていてもロッテバッテリーの配球の9割方は読めたから阪神サイドの狙い打ちでもあった。ここは受け手がベテラン捕手であればリードも違っていただろう。

ただ打者との駆け引きはさておき、佐々木朗だけにスポットを当てると、変化球を投げる際に体の開きが早くなるのが目についた。またそれが右打者のインコース、左打者の外角に力が伝わりにくい要因だろう。

この点を修正するには体幹を鍛えながら、スタミナをつけることだ。それはダルビッシュも、田中、大谷もたどってきた道。体が出来上がってくれば、打者から見るボールも隠れて、さらに強い球を投げることができる。

現時点であえて提言するとしたら、今後はもう1つ球種をマスターすることを視野に入れるべきだ。次の段階に向けて新たな球種に取り組むか、それとも持ち球の精度をさらに上げるかだ。

首脳陣はどこかでまた休ませながら修正させるのだろう。今はバランスを考えて投げているようだが、1つずつハードルをクリアしながらレベルアップしてほしい。本人の努力次第だが楽しみな素材であるのは間違いない。

(日刊スポーツ評論家)