阪神は巨人3連戦にまんまと勝ち越したことで、本当の意味で勢いをつけたかったが、ヤクルトにあっさりと負け越した。しかもヤクルトとの3試合は、トータルで28失点という負け方だった。

今季初登板の高橋が投げているのに、野手がまずい守備で足を引っ張った。巨人、ヤクルトに差をつけていれば今後の戦い方も違っていただろうが、勝負どころで“アキレス鍵”である守備にもろさが出た。

1回。塩見の二遊間に転がったゴロも、ショート中野はもっとうまくさばきたかった。先発高橋は平常心で投げることができなかっただろう。大山、サンズの失策が絡んで、いきなりの5点は重苦しかった。

記録に表れないミスといえば、2回無死一塁で山田の詰まった二塁へのゴロが安打となってピンチを広げたが、すぐさまベースに戻った一塁マルテの守備範囲だ。その後1死一、三塁からオスナの中犠飛だから手痛い失点になった。

高橋も踏ん張れなかった。ちょっとイメージと違ったのは、キレのあるストレートが少なかったことだ。4回を9安打6失点。計23人に投げた85球を見る限りどの球種を軸にしたいのかが伝わってこなかった。

チームは9戦連続で先取点を与えているから、先発陣の立て直しは急務といえる。高橋はもっとストレートで勝負してほしかったし、苦しい先発の台所事情だから次回登板に期待したいものだ。

打線は、ヤクルト先発高橋の球威、チェンジアップにも苦しみ、6回を投げきられた。この3連戦は糸井、糸原を「3番」に起用するなど、クリーンアップのシャッフルに迷いが見てとれる。

それはサンズの調子が上がってこないから苦慮しているのだろう。ここにきて先発陣に陰りがみえるだけに反発力は必須。10日からの広島戦では、1、2番が機能しているだけに、大山昇格を含めて、いかにクリーンアップを組むかに注目したい。そしてさらに守りを固めながら戦うべきだろう。(日刊スポーツ評論家)

阪神対ヤクルト 1回表ヤクルト無死一、二塁、大山は山田の三塁への打球を一塁に悪送球する(撮影・宮崎幸一)
阪神対ヤクルト 1回表ヤクルト無死一、二塁、大山は山田の三塁への打球を一塁に悪送球する(撮影・宮崎幸一)