米野球殿堂の投票結果が25日(日本時間26日)発表され、歴代最多本塁打のバリー・ボンズ氏(57)、最多サイ・ヤング賞投手のロジャー・クレメンス氏(59)らが落選した。現役時代に対戦経験がある日刊スポーツ評論家の佐々木主浩氏(53)は、圧倒的な実績を持つスター選手の落選を残念がった。

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ボンズとクレメンスが殿堂入りしなかった。2人はメジャーで一時代を築いたスーパースターであり、今回の結果はとても厳しいという印象を抱いた。

マグワイアも含め、特にストライキ後、MLBの人気が落ちていた時代を盛り上げてくれた。技術の高いボンズとの対戦は楽しみだった。内角高めの直球をフェンス直撃二塁打にされたこともあったが、喜びを感じていた。そういう投手も多かったと思う。クレメンスと対戦した打者も同じだろう。

薬物使用疑惑が取り沙汰されるが、彼らが活躍していた時代は禁止ではなかった。それに、疑わしきは罰せず、ではないのか。私の現役時代、周りで何人も使用していた。尻に注射を打っているのを見たこともある。球速90マイル(145キロ)の投手が95~96マイル(153~154キロ)になった。禁止でなくても自分はやろうと思わなかったし、やっている選手をずるいと思ったこともない。寿命を縮めると言われていたし、命を削ってまでやるのかと感じていた。

薬物を使用しても、投手ならパワーがついて球は速くなるが、コントロールはつかない。使用しても、それだけで何十勝も挙げられない。A・ロッドは薬物使用で出場停止処分を受けたが、チームメートだったので練習への真摯(しんし)な取り組みを間近で見ていた。彼らに対し、私はリスペクトを抱いている。誰が見てもスーパースターだった人には殿堂入りしてほしい。(日刊スポーツ評論家)

ロジャー・クレメンス氏(2007年6月9日撮影)
ロジャー・クレメンス氏(2007年6月9日撮影)