広島らしい攻撃がみられた中で、若手が打線を活性化させている。目の前のチャンスをものにしようと気迫を前面にした姿は、チームに勢いをもたらす。三塁打の羽月だけでなく、中村健もきっちりと犠打を決め、守備でも堅実さが見える。実戦向きの印象が強く、先発だけでなく途中出場でも計算できるだろう。

打撃状態が上がってきた小園は、記録に残らないものを含め守備で2つのミスが出た。ただ、若い選手にミスはつきもの。大事なことは決して下を向かないことだ。特に攻撃から守備への切り替えは重要になる。その瞬間、瞬間に集中していくことが求められる。実践することは非常に難しいことではあるが、実戦でしか養えない。それが選手個々の成長につながり、そしてチームの成長につながる。

先発の大瀬良も一時期の不調から脱した姿を示した。しっかりと指にかかった直球を投げ込み、フォームも安定している。次回以降にも期待を抱かせる内容だった。大黒柱の好投で勝てたことは、チームにとっても大きい。首位ヤクルトに3連敗して迎えた巨人3連戦初戦は、収穫が見えた試合となった。ペナントレースはまだ折り返したばかり。66試合も残している。1戦1戦、切り替えて臨んでいかなければいけない。【日刊スポーツ評論家 緒方孝市】