約1カ月ぶりの先発登板となった佐々木朗が、楽天を相手に5回1/3を5失点で今季2敗目を喫した。前回は血マメで降板していただけに、今回も真っすぐが抜け気味でシュート回転し、球速もいまひとつ。真っすぐの球速はMAX158キロで、平均でも5キロ前後は出ていなかった。

ただ、今試合は雨が降り続き、試合も途中で中断。コンディションが悪かったことを考慮すれば、それほど不安はないかもしれない。しかし、混戦のパ・リーグの優勝争いを考えると、佐々木朗をKOした楽天には大きなアドバンテージになった。

佐々木朗に対する打者の基本スタンスは「真っすぐ狙い」。とてつもないスピードをマークするだけに、変化球が来たら「ごめんなさい」となりがち。だから異常なほどの奪三振率を誇る。しかし、今試合での楽天打線は、佐々木朗のフォークに対して見事に対応していた。

初回の島内のセンター前タイムリーはフォーク。6回の茂木、西川のヒットはフォークに対して見事に対応していた。このフォークに対し、追い込まれる前にブリブリと空振りしていたのは辰己ぐらいだった。

今試合は真っすぐのスピードがいまひとつだったとはいえ、楽天のバッターはそれほど佐々木朗を嫌がっているようには感じなかった。今試合前までの球団別の防御率を調べてみた。

日本ハム  0・00

西武    0・60

オリックス 1・29

ソフトバンク1・50

楽天    2・37

登板数が少ないとはいえ唯一、2点台なのが楽天で、今試合で4・70に跳ね上がった。パ・リーグの球団では明らかに苦手にしているチームといえるだろう。

今季は中6日で先発することもあったが、血マメの影響や疲労の蓄積を考慮すれば、ローテーション通りに登板はしないだろう。

今更、説明するまでもないが、佐々木朗は相手チームのエースを相手にしても勝てる可能性が高い投手。その佐々木朗がどこで先発してくるか、対戦チームにとっては脅威の存在になる。ロッテとしても、佐々木朗を効果的に起用するなら、対戦相手を考えて先発させるだろう。

そうなれば、今試合で佐々木朗を打った楽天打線の奮闘は意義がある。佐々木朗がどのチームに先発してくるのか? ペナントレースのカギを握る。(日刊スポーツ評論家)