巨人の高卒ドラフト1位浅野翔吾外野手(18)がルーキーで臨むキャンプは不慣れも多く、ストレスも抱えているだろう。常に見られるつらさは、ファンの皆さんならば、おおよそ想像はつくだろうが、他にも気を付けることはある。
私のルーキー時代を振り返っても、気兼ねなく話せる仲間がいる、いないでは、心の平静さを保つ上で大違いだ。浅野も気苦労が絶えないだろう。今は生活面でのアドバイスが、長い目で見れば大切な気がする。
日常生活で決して横柄な態度を取らないこと。浅野が横柄だという意味ではない。選手やコーチ、スタッフと話す時、分からないことがあっても丁寧に対応する。これに尽きる。
高卒ルーキーなのだから、分からないことがあって当然。だが、知らないことを覚えるには、周囲に好印象を持ってもらうことがとても大切だ。受け答えは謙虚に、高校生らしくはきはきする。これは自分のためでもある。
そうすることで、先輩はかわいがってくれるようになる。そのつながりが、プロで生きていく上で、どれだけ励みになるか。端的に言えば、ドラフト1位でもまだチームに居場所が見つけられないことだってある。巨人というコミュニティーでの良好な人間関係が、練習に没頭できる下地になる。
最後に技術的なことを触れておく。タイミングを取る時にグリップの位置と肘が高い。こうなると、ピッチャーの動きに合わせてタイミングを取る時、グリップが体の後ろに回ってしまい、タイミングが遅れ気味になる。
そして、もう少し両腕の柔軟性を意識することだ。ガチガチに力が入った構えに見える。本来はバットに添える右手の力を緩めるくらいの意識で、腕の動きに柔軟性が出てくるとタイミングの取り方もスムーズになる。
悪いクセは早い段階で直した方がいい。細かく指摘することはないし、あまりいじらずにプロの水に慣らしてやりたい現場の思いも分かる。パッと見て、これは本来の正しい動きに改めた方がいいことは、若い浅野には適切なアドバイスになる。タイミングは打者の根幹を成す。あえてそこは指摘させてもらった。(日刊スポーツ評論家)