久々にブルペン投球でストレートを1球見ただけで、思わずニヤっと笑ってしまった。オリックスの3年目右腕、山下はモノが違うことが、すぐに分かった。
重さを感じさせるより、迫力のある球という表現がふさわしい。打席に入った時に「ウォ、速い」と打者を威圧できるストレートだった。速さを意識させる佐々木朗とは別物だが、迫力のすさまじさは、大谷に近い感じだ。189センチの長身でテイクバックも小さいモーションから投げ下ろすところも、大谷に似ていた。昨年11月の両足首の手術から、まだ回復の過程にある。6割程度の力で投げていたというが、全力で行ったらどんな球になるのか、楽しみで仕方がない。
球種は直球とカーブ、そして現在取り組んでいるフォークの3球種。高校時代は監督の方針で直球とカーブに限定したという。今も監督の教えを頭のどこかに置きながら、球種は絞っているのだろう。軸となる直球をしっかり磨くという根底の考えがうかがえる。
この日、フォークを教えていた野茂さんも現役時代は同じ3球種だった、と言っていた。ただ現在の野球は3球種だけでは、抑えることはできても投球の幅が狭まり、苦しくはなる。今後、先発をするなら1、2種類増やして4、5球種にしていく必要はある。それでも不器用そうには見えないし、カットボール、ツーシームなど小さい変化の球はすぐに覚えられそうな感じだった。
昨年の日本シリーズも首脳陣は、1軍戦未登板ながら、先発デビューさせることを検討していたが、うなずける逸材だ。リハビリが完了すれば、中嶋監督は間違いなく今年中に使うだろう。エース山本が近い将来のメジャー移籍を目指しているが、エースの座を山下が継いでいくことになる。ケガなく順調に成長すれば、大谷のような投手になる可能性が十分にある。(日刊スポーツ評論家)




