苦しい後半戦の幕開けとなった。エンゼルス大谷翔平投手(29)がアストロズ戦に「2番DH兼投手」で出場し、5回0/3を5安打5失点(自責4)で今季5敗目(7勝)を喫した。不安定な制球と味方の失策も重なり、同地区のライバルに完敗。打者では2安打を放ったが、チームは球宴を挟んで今季ワーストの6連敗を喫した。自身のトレード話が再燃する中、痛い1敗となった。

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エンゼルス大谷は、中指の爪の影響を大きく感じさせた。カーブを94球中の13%にあたる12球も投げていた。今季ここまでは3%しか投げていなかった球種。直球やスイーパー(横に曲がるスライダー)などには爪に負担がかかるが、カーブは指の腹で投げる。指のマメは影響するが、爪は関係ない。だからこそ多投したのだろう。

爪が完全に治るまでは、不安を抱えて登板するべきではない。爪を気にするしぐさもあった。4回は珍しく、先頭から3者連続四死球を与えた。爪が気になって、きっちり腕が振れていないと感じた。爪はボールに最後まで触れている部分だけに、状態が万全でなければどうしても気になってしまう。

5回に三塁手レンヒーフォの失策で、がっくりと肩を落としていた。状態が悪い中でも踏ん張っていたが、心が折れてしまったように見えた。野手は助けてくれることもあるので、投手がマウンド上でああいう態度を取ることはよくない。もちろん、大谷は味方のミスをカバーしようと考える性格だとは思う。投手は打たれても抑えても、しゃがみこんだりして弱いところを見せるべきではない。

とにかく100%のパフォーマンスが出せない以上は、爪が万全に戻るまで投げてはいけない。勝てばともかく、負ければチームにも迷惑がかかる。米国という国はきっちり主張しないといけない。爪をかばっていると、他の部位を痛める可能性もある。大きな故障につながりかねない、そちらの方が心配だ。エンゼルスは6連敗で今季初の借金2。トラウトがいない中で、自分が頑張らないといけないという気持ちは分かるが、勇気を持って登板は避けるべき。幸いにして投打二刀流。打つだけでも十分チームに貢献できる。(日刊スポーツ評論家)