オリックスのマジックは2となった。早ければ20日にも3連覇が決まる。この試合では、1点リードの6回1死二、三塁の局面で、宗が自打球で途中退場した。重苦しい空気がドームに漂ったが、そうした不測の事態も、今のオリックスは難なく乗り切ってしまう。

代打はセデーニョ。7月絶好調も、8月は不調で2軍調整をしていた。その外国人がこのタイミングで宗の代打で登場し、貴重な追加点を生むタイムリーを放った。宗のアクシデントは痛いが、こうした展開にも即時対応できる首脳陣の判断力はずばぬけている。

先発東も今のチーム事情をよく理解したピッチングだった。週末の楽天との3連戦では計10人の救援陣を投入。ここは東にできるだけ長いイニングを託したい。

東はそのあたりをよく踏まえたピッチングだった。ストレート、ツーシーム、カーブで緩急を使いながら、ストライクゾーンで勝負していた。危なげなく110球で7回を1失点。デビュー以来7連勝という結果もそうだが、内容的にも山本を連想させる安定感を見せた。

また安達の活躍も光った。初回、右前打で先制点への足場を作り、守備でも堅実な守りでピンチの芽を摘んだ。こうした安達の起用法に、調子のいい選手を使い、それに応える選手という好循環が見える。

他球団の監督からすれば、中嶋監督は打ち出の小づちを振る姿にも映るだろう。

最後にロッテは東の前に策もなくひねられてしまった。ただし、今のロッテはAクラスを死守することだけに専念すべきだ。そのためにはまずは70勝をひとつのラインとして、あと7勝を目指し、目の前の試合に全力を注ぐことだろう。

眼下にはソフトバンク、楽天が迫るが、両チームは直接対決をまだ4試合も残す。必ずどちらかは負けるため、ロッテはAクラスに生き残るための好条件にある。

この日の敗戦を悔やんでいる時間はない。残り16試合。7勝9敗は確実にクリアできる数字だ。今は追い込まれる時期でも、そうした気持ちになる必要もない。まず、オリックスに連敗しないこと。もっと気楽に戦ってほしい。(日刊スポーツ評論家)