すでにAクラス入りを決めた広島だが、残り3試合でも明確な目標がある。CSファーストステージのような超短期決戦では本拠地か、敵地かは大きな差。特にマツダスタジアムで6割4分2厘の勝率を残す広島にとって、地元ファンの後押しは大きな力となる。

離脱していた主力野手が復帰したが、万全なのかはまだ分からない。CSにもいえることだが、これからは名前や実績で選手を起用するのではなく、調子や状態を見極めることが求められる。ただ、今季の広島は例年になく多くの離脱者を出した中でも、選手を入れ替えながら乗り越えてきた。新井監督が推し進めた底上げも実り、小園や末包といった若手や堂林が穴を埋めた。メンバーを固定して優勝した阪神とは違う。広島は選手を入れ替えながら戦い、勝ってきた。

最終戦後、CSまで約2週間空く。故障明けの選手たちは万全に戻す調整に重きを置かなければいけない。もちろん実戦勘を養う必要もあるかもしれないが、実績ある選手なら、そこはカバーできる。何よりもコンディション調整が最優先だ。そして首脳陣には見極めが求められる。野球は打つだけでなく、守る、走るに加え、細かいプレーも求められる。わずかな隙が試合の流れを分ける。

短期決戦だからといって戦い方を大きくは変えられない。シーズンの戦いを集約されたものが出るのだと思う。これまでのように選手を見極め、その日のベストメンバーで戦う。それが今季の広島の形だろう。(日刊スポーツ評論家)