投手に本格的に転向した根尾が、今季2度目の先発をした。6回5安打5四球2奪三振で1失点。数字だけを見れば十分に合格点を与えられる。しかし投球内容そのものは、まだまだ課題が山積み。最初に断っておくが、投手転向1年目として見るのではなく、プロ入り5年目の1軍ローテーション投手としての評論をしてみたい。

まず投球フォームに安定感がない。足を上げてから打者に向かって投げにいく際、左肩が内側にひねるように入ってしまう。こうなると、腕が振り遅れやすくなり、窮屈になる分、かえって上半身の開きが早くなる。速い球を投げるため、体にねじりを作って力感を出したいのだろうが、それならもう少し早いタイミングで左肩を入れておくか、投球動作に入る前から少しだけ入れておいた方がいい。

ただ、現時点で抑えられているのも、フォームのバラつきが功を奏している。今季の右打者との対戦は13打数無安打2四球。左打者の30打数9安打6四球に比べると、右打者との相性が圧倒している。これは左肩が入って投げるため、右打者には向かって投げてくるような威圧感と、体の方に抜けてくる恐怖感を感じさせるからだろう。

もちろん、右打者をこれだけ抑えられていいと考えることもできる。しかし、プロの打者は甘くない。ここまで死球は0で、体に当たるまで抜けてこないと分かれば、踏み込んで打ってくる。仮に右打者を抑えられたとしても、左打者を抑え続けるのはもっと難しくなる。球がバラついて狙い球が絞りにくいから抑えるのではなく、きちっと制球して打者を抑える根拠のようなものを作ってほしい。

そのためにはオフや来年のキャンプで、しっかり体を作り、投げ込んでフォームを固める必要がある。低めに決まる真っすぐの質がいいから、高めに抜けた球も有効になるが、精度を高めればさらに打たれなくなる。フォークにしても高めに抜けやすいが、もう少し指で挟む幅を広げれば安定して落ちるようになるだろう。

課題点は多いが、その分、伸びしろは大きい。野手をやったり投手をやったりして遠回りしたが、投手として高いレベルの資質は持っているのは間違いない。来季こそ、フォームを固めてローテーションに入って勝てる投手を目指してほしい。(日刊スポーツ評論家)

巨人対中日 中日先発の根尾(撮影・狩俣裕三)
巨人対中日 中日先発の根尾(撮影・狩俣裕三)
巨人対中日 中日先発の根尾(撮影・狩俣裕三)
巨人対中日 中日先発の根尾(撮影・狩俣裕三)
巨人対中日 7回表を終え、立浪監督(右)に交代を告げられる中日先発の根尾(撮影・狩俣裕三)
巨人対中日 7回表を終え、立浪監督(右)に交代を告げられる中日先発の根尾(撮影・狩俣裕三)