阪神は広島がみせた執念のプレーにトドメを刺された。9回表2死一塁。栗林が背後に上がった佐藤輝の小フライに後ろ向きに飛びついた。惜しくも届かなかったが、次の瞬間、遊撃手の矢野が右手で拾って体を投げ出して、打者走者を間一髪のアウトにしたのだ。

中西 正直言って「大丈夫か?」と思ってしまう阪神の負けだった。前日29日のDeNA戦(横浜)では12安打を放ったが、チームの3得点は大山の本塁打と坂本と木浪の犠牲フライによるもので、打線がつながったわけではない。岡田監督がいらだつ心境は手に取るように分かる。この広島戦でも先発した九里に5回までパーフェクトに抑えられ、7回に1点をとるのがやっとだった。

CSファーストステージに進出する広島相手に、近本ら複数の主力をスタメンから外しての一戦。しかし、九里に対した阪神打線は、7回にミエセスが放った左前適時打を含む、わずか3安打に封じ込まれた。

中西 広島がCSファイナルステージに上がってきた場合、阪神戦に0勝4敗と相性の良くない森下は投げてこないだろう。おそらく新井監督は九里を阪神戦に先発させることを決めたはずだ。岡田監督は主力を下げたとはいえCSで起用するメンバーの見極めをしているわけで、主力、サブにかかわらず、なんとか九里を攻略する姿勢を示してほしかった。

阪神は1日の広島戦(マツダ)、4日ヤクルト戦(神宮)でレギュラーシーズンを終了するが、CSファイナルステージの18日まで間隔が空く。

中西 阪神としては広島より、DeNAのほうが組みにくい。ただピッチャーは対戦相手に関係なく、村上、大竹、伊藤将の順番で先発するだろう。打線は森下でいくのか、いかないのか? 3番がカギを握っている。

【取材・構成=寺尾博和編集委員】

広島対阪神 選手交代を告げる岡田監督(撮影・上田博志)
広島対阪神 選手交代を告げる岡田監督(撮影・上田博志)
広島対阪神 8回裏広島1死、末包の左越えソロ本塁打をベンチから見つめる岡田監督(撮影・加藤哉)
広島対阪神 8回裏広島1死、末包の左越えソロ本塁打をベンチから見つめる岡田監督(撮影・加藤哉)
広島対阪神 選手交代を告げベンチに引き揚げる岡田監督(撮影・上田博志)
広島対阪神 選手交代を告げベンチに引き揚げる岡田監督(撮影・上田博志)