パ・リーグのクライマックスシリーズ、ファーストステージ第3戦(ZOZOマリン)は16日、延長10回、ロッテが4-3の逆転サヨナラ勝ちを収めた。

10回表にソフトバンクが3点を奪えば、その裏にロッテは藤岡の同点3ランと安田のサヨナラ打。ポストシーズン史上に残る大激戦を日刊スポーツ評論家の佐々木主浩氏が解説した。

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ソフトバンクのバッテリーは延長10回、3点差があっても先頭打者に細心の注意を払うべきだった。下位の9番から始まる打順は、つながれると上位、さらにクリーンアップにまで届いてしまう。クリーンアップから始まるよりも、実は大量点になりやすい。この回から捕手が嶺井に代わっていたが、先頭の代打角中には全10球が直球で中前打。3ボールになったことを差し引いても、単調になったことは否めない。

ロッテは10回に5安打を放ったが、すべて打ったのは直球だった。必ずしも直球を使うことが一概に悪いわけではないが、藤岡の同点3ランは初球。相手がイケイケになっている場面では、せめて初球は冷静に入らないといけない。津森は救援経験が豊富ではあるが、どうしても力みが出る短期決戦では慎重さが足りなかった。

ソフトバンクは先発の和田が5回まで2安打無失点と好投していたが、63球で交代させた。42歳ではあるが、まだ余力があるように見えた。6回から1イニングずつの交代となると、いい投手からつぎこんでいけば、延長になると投手が底をつく。負ければ終わりの決戦だけに早めの継投も仕方ない部分はあるが、ルーキー大津に最後を任せるのは、荷が重すぎた。

ロッテは6、8回に、先頭打者を四球で出塁させた。野球の格言で「先頭打者の四球」は得点が入りやすい例えだが、これを逃すと逆に、相手へ流れが傾きがちだ。6回無死一塁、8回1死一塁で、3番石川慎に強攻させ、遊ゴロ併殺打と三振に倒れていた。3番とはいえ石川慎は不動のレギュラーではない。相手の救援投手が浮足立っていただけに、送りバントでさらなる圧をかけるべきだと感じていた。6~9回まで毎回走者を出して無得点に終わり、1度はソフトバンクに流れが傾いた。小さなきっかけで流れが変わる、短期決戦の怖さが凝縮された激戦だった。(日刊スポーツ評論家)

ロッテ対ソフトバンク 10回裏ロッテ無死一、二塁、藤岡に3点本塁打を浴び、斉藤投手コーチ(左)から声をかけられる津森(撮影・江口和貴)
ロッテ対ソフトバンク 10回裏ロッテ無死一、二塁、藤岡に3点本塁打を浴び、斉藤投手コーチ(左)から声をかけられる津森(撮影・江口和貴)
ロッテ対ソフトバンク 10回裏ロッテ無死一、二塁、3点本塁打を放つ藤岡。投手津森(撮影・江口和貴)
ロッテ対ソフトバンク 10回裏ロッテ無死一、二塁、3点本塁打を放つ藤岡。投手津森(撮影・江口和貴)