2日連続で巨人のブルペンを視察させてもらった。この日は菅野がピッチング。近年、ケガが多くて満足な成績を残せていないが、今年は順調そうな仕上がり具合。前日には中川もピッチングしたが、これもいいボールを投げていた。新戦力がどうのこうの言う前に、力のある投手が本来の力を取り戻しているのが何より心強い。現時点で巨人を優勝予想したいと思うほどだった。

まずは菅野だが、クイックで投げたり、すべての球種を投げていた。他の若い投手陣と並んで投げていたが、コントロールの良さは飛び抜けていた。さすがに全盛期と比べるわけにはいかないが、ローテーションに入って2ケタを狙える状態には戻っている。

他の投手陣も状態はいい。先に挙げた中川もいいし、菅野の後に投げた山崎伊も、両コーナーにシュートとスライダーを投げ分けていた。自分のピッチングスタイルを確立している感じだった。

前の日にはドラ1の西舘も見させてもらった。スピードとコントロールはまずまず。少し左肩の開きが早く、怖さがないのが気になるが、1軍で投げる力はある。フォークボールの投げ方を聞いてきたので、リリースでの指の第1関節で投げる感覚をレクチャーした。ただ、教えるまでもなく落差のあるいいフォークを投げられていた。

昨年の防御率はセ・リーグ5位。ボールの飛びやすい東京ドームを本拠地にするが、やはりチーム防御率が悪ければ優勝は不可能だと思っている。その点、今年はリリーフ陣も手厚く補強したし、状態がいまひとつだった投手陣が続々と復活している。これなら優勝を狙えるだろう。

ライバルは阪神で間違いない。阪神のブルペンも見たが、素晴らしい投手がそろっている。特に良かったのは、左の伊藤将。巨人打線も苦手にしているが、今年は打ち崩すというより、投手戦で粘り勝てるような戦いができそう。昨年、大きく負け越した対戦成績を五分に戻せそうな予感がある。

なんといっても、今年から阿部新監督が采配する。もちろん、未知数な部分はあるが、インタビューで話した感じでも新人監督という感じはせず、どっしりと落ち着いて話していた。チームのムードも明るくなり、新風を吹かせて巻き返しを期待している。(日刊スポーツ評論家)

言葉を交わす巨人阿部監督(左)と上原氏(撮影・河田真司)
言葉を交わす巨人阿部監督(左)と上原氏(撮影・河田真司)