遊撃固定はもったいない-。オリックスで監督を務めるなど指導者経験も豊富な日刊スポーツ評論家・大石大二郎氏(65)が5日、阪神小幡竜平内野手(23)にマルチなフル稼働を期待した。

木浪と遊撃を争うホープだが、二塁レギュラー中野の代役が必要となった場合の有力候補に推薦。シュアな打撃と俊足を高評価し、外野起用も一手だとした。【聞き手=佐井陽介】

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もしこの日の楽天戦が開催されていれば、二塁スタメンは誰だったのでしょうか。レギュラーの中野が侍ジャパン合流でチームを離れる2連戦の初戦。結局は雨天中止になってしまいましたが、個人的に中野に次ぐ二塁手のバックアッパーとして注目しているのが小幡です。昨季は守備に就いた全34試合で遊撃を守りましたが、20年から22年までの3年間はポジション別でもっとも多い計69試合で二塁を守った選手。守備力も高く、あらためて試す価値はあると考えます。

小幡は昨季、開幕戦に遊撃スタメン出場しながら、4月のうちにレギュラーの座を木浪に奪われました。レギュラーシーズンの成績は47試合出場で打率2割8分2厘。9月中旬までは打率3割も超えていただけに、使うポジションが限られるのはもったいないなと感じていました。もちろん今季も木浪と遊撃レギュラーを争っている立場。まずは遊撃で勝負するのでしょうが、仮に今季も木浪が遊撃スタメンの1番手となった場合、有事に向けて出場機会を増やす準備をしておいて損はありません。

現状、二塁レギュラーは中野で揺るぎません。ただ、もし中野が負傷などで離脱せざるを得なくなった時、小幡が二塁守備も準備できていれば、一気に出番は増えることでしょう。さらに言えば、それこそ脚力もあるのだから時には外野で起用する手もあるのでは、と考えるぐらいです。あくまで遊撃練習の充実を大前提とした上で、今のうちに打球捕などで二塁や外野を練習する時間を作っておくのも有りかなと感じます。

一方、外野両翼のレギュラー争いに目を向ければ、この日の雨天中止は若手勢からすれば悔しくて仕方がないでしょうね。左翼レギュラー有力候補のノイジーはまだ右肘痛から戦列復帰していない状況。その上、右翼レギュラー有力候補の森下も侍ジャパン選出で抜ける2試合のうちの1試合がなくなったのですから。

前川や小野寺、井上、野口らはここから数少ない1打席1打席の内容と結果が開幕1軍の当落に影響してきます。1年前にオープン戦で打率3割1分4厘、3本塁打を記録した森下のように、ノイジーが復帰しても「オレがいる」とアピールし続けられる結果を残してほしいものです。(日刊スポーツ評論家)

練習後に話す(左から)阪神前川右京、小幡竜平(撮影・石井愛子)
練習後に話す(左から)阪神前川右京、小幡竜平(撮影・石井愛子)