台湾の遠征から帰国し、久しぶりのオープン戦になった巨人。今試合から台湾遠征に参加していなかった新外国人のオドーア、丸がオープン戦に本格的に合流してくる。激しい外野のレギュラー争いに注目した。

外野手のスタメンは、2番にオコエ、6番にオドーア、7番にDHで丸、8番に秋広が出場。その結果、丸が1つの四球を選んだだけで、全選手の合計成績は12打数無安打3三振。まだ、実戦での試合出場が少ないオドーア、丸が打てないのは仕方ないとしても、それを差し引いても寂しい内容になってしまった。

まず、期待の高い新外国人のオドーアの3打席を解説したい。2回1死からの第1打席は真っすぐを2球続けられて一ゴロ。初球のファウルも一ゴロで凡打した真っすぐも、いずれもコースは甘かった。5回1死からの2打席目は4球とも変化球で、最後は外角のスライダーを見逃し三振。8回無死二塁だった3打席目はフルカウントまで粘ったが、最後は三塁へのファウルフライに終わった。

全打席を通じて感じたのは、低めのボールゾーンに落ちたり、曲がったりする変化球へのマークが強すぎること。そのため、ストライクゾーンにきた真っすぐに対して、ファウルでも見逃し方でも、ほとんど差し込まれていた。確かに外角低めの変化球の見極めは、外国人選手が日本で成功するための重要なポイントになる。しかし、真っすぐに対してこれだけ差し込まれていたら、変化球を見極められたとしても意味がなくなる。勉強熱心なのはいいが、少し情報が先行しすぎて肝心な部分を忘れているように思った。

もちろん、この試合だけでオドーアが「打てない」とは思わない。しかし、今後はたくさん打席に立たせて慣れさせる必要がある。そこでウカウカしていられないのがオコエや秋広、ベテランの丸だろう。初回無死一塁からスライダーを泳がされて注文通りに併殺に打ち取られたオコエ、8回1死一、二塁のチャンスで真ん中高めの真っすぐをこすったような当たりで三塁へのファウルフライになった秋広は、打席内容が悪い。奮起が必要だろう。

レギュラー争いはうまくいけばチームに緊張感を生み、経験を積んだ選手のレベルも上がる。しかし、競争が激しすぎると、試合出場が減り、思い切ったプレーもできなくなる。

ここまでのオープン戦の成績を見ると、結果を出しているのは打率4割5分5厘をマークしている松原と、3割8分5厘のルーキーの佐々木。あまり競争が激しくなって試合出場が中途半端にならないように、打っている間はその選手を使い続けるぐらい、割り切った起用法の方がいいだろう。(日刊スポーツ評論家)