西武、中日とも昨季はBクラスに終わった。課題とされる攻撃陣を補強して今季に臨む中、エース格の両先発に注目した。

西武平良には意図を感じた。ストライクゾーンに各球種を投げ込んでいた。圧巻は4回。3者連続で三振を奪ったが、三振の取り方がそれぞれ違った。細川は、フルカウントから外甘めのスライダーで見逃し三振。石川昂は3球三振だったが、まずは緩いカーブで見逃し、真っすぐと思わせてスライダーで空振り、そして変化球と見せかけて高め真っすぐで空振り三振。3人目の高橋周は2球で追い込んだあと、ボールが3つ続いたが、最後はストライクからボールに落ちる球で空振り三振だ。

いろいろなパターンを持っているのが平良の強み。昨季は先発転向1年目で11勝を挙げたが、今季は間違いなく最多勝争いをすると思わされる内容だった。

中日小笠原もボールは悪くなかった。2段モーションをやめ、投球フォームがコンパクトになった。マイナーチェンジでいい感じになっている。だが、9年目というキャリアを考えれば、開幕まで細かい点を突き詰めていく必要がある。

3回の投球が引っかかった。中日は表の攻撃でチャンスをふいにしていた。先頭の三好が四球を選んだが、続く田中は初球を空振り。スタートを切った三好が二塁で刺された。エンドラン失敗で走者がなくなり、結局3人で攻撃終了。非常に嫌な流れで裏の守りに入った。すると、小笠原は先頭の古賀に左前打。ヒットはしょうがない。問題は初球ストライクのあと、ボール3つでカウントを悪くしたことだ。流れが悪くなった直後だけに、イニングの入りは大事にして欲しい。

小笠原は金子侑にも安打を浴びた。ただ、自らのけん制で二塁走者を刺し、ピンチを脱した。キャリアを積んだだけはあった。それだけに、イニングの入りがもったいなく映った。もはや単純にボールがいい、悪いとか、結果がどうとか言われる投手ではない。本人も分かっているはず。オープン戦とはいえ、細かい点を突き詰めることで、昨季の勝ち負け(7勝12敗)が逆になる可能性は十分ある。

中日は3回の攻撃も、もったいない。エンドランのサインで、田中は外のスライダーに空振り。絶対に当てるという意識は伝わってこなかった。無死だっただけに、なおさらバットを投げてでも当てないといけなかった。基本中の基本だが、意識を持つことはすぐにできる。そういう点も詰めていかなければ、チーム力、得点力は上がらない。(日刊スポーツ評論家)

西武対中日 5回表を投げ終えた西武先発の平良(右)は捕手古賀とタッチをかわす(撮影・滝沢徹郎)
西武対中日 5回表を投げ終えた西武先発の平良(右)は捕手古賀とタッチをかわす(撮影・滝沢徹郎)
西武対中日 中日先発の小笠原(撮影・滝沢徹郎)
西武対中日 中日先発の小笠原(撮影・滝沢徹郎)
西武対中日 5回裏を投げ終えた中日先発の小笠原は悔しげにグラブをたたく(撮影・滝沢徹郎)
西武対中日 5回裏を投げ終えた中日先発の小笠原は悔しげにグラブをたたく(撮影・滝沢徹郎)