阪神青柳晃洋投手(30)が危なげない投球で6回を4安打無失点。開幕投手に内定している右腕が順調な仕上がりぶりを見せた。日刊スポーツ評論家の権藤博氏(85)が解説した。
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開幕投手の阪神青柳は6回4安打無失点。2週間後の本番に向けて、上々の結果とほどよい課題を残し、いい状態で歩みを進めた。適度にボールが散り、凡打と三振の山を築くといった絶好調時ではなかったが、ツーシームを軸にスコアボードに0を並べて気分が悪いはずはない。
一方、開幕相手の巨人にこの状態のままなら、苦しい展開になることも考えられる。バンテリンドームと違い、舞台も長打要警戒の東京ドーム。スライダーの精度アップなど、課題も明確になったことで最終調整の焦点も絞り込めたはずだ。
阪神はつい先日までオープン戦開幕9連敗で話題を集めていたが、心配する必要はない。オープン戦はあくまでもキャンプの延長線上にある練習試合。岡田監督も勝敗度外視で、既存選手は成長度合いや調整状態、新戦力は能力の見極めに専念していたはずだ。
本番を戦い抜くための選択肢を増やすために時間を費やしていたわけで、予定通り、この試合からスタメンには開幕を想定したメンバーを並べ、6回無死一、二塁の先制チャンスでは中野に初球バントを命じた。結果はファウルで強攻策に転じたが、攻撃陣はここからの2週間で形を整えていくことだろう。
チームが目標に掲げる球団初のリーグ連覇達成は容易ではない。2年続けて143試合を戦い、1位でゴールテープを切る作業は阪神に限らず想像以上に困難で、昨年以上のエネルギーも必要となる。総合力はNO・1。当然ながらV筆頭候補だが、球宴までに信頼できる抑え投手を固めることができれば、連覇への視界は大きく広がると見ている。(日刊スポーツ評論家)