阪神85年日本一の守護神で、05年のリーグ優勝時に投手コーチを務めた中西清起氏(61)が試合をチェック。ノーヒットノーランを達成した巨人戸郷翔征投手(24)をたたえつつ、今季戸郷に3戦3敗で苦手意識が芽生え始めている阪神打線は対策が急務と課題を指摘した。一方で互角に渡り合った及川雅貴投手(23)が先発適性を示したことを評価。1失点でしのいで緊迫ゲームに持ち込んだ5人の投手陣をたたえました。【聞き手=松井清員】

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戸郷につけ入るスキはなかった。終盤はノーノーをやる雰囲気が出ていたし、あっぱれというほかない完璧な投球だった。真っすぐはキレているし、追い込んでからのフォークは落差があって振らされる。左右高低の制球も抜群で、左打者には外のスライダーでストライクを取って内角にズバっ。岸田の配球も素晴らしく、阪神打線は全く的を絞らせてもらえなかった。少し気配があったのは森下と近本ぐらい。その近本も9回に捉えたと思った打球が一直で、ヒットでもおかしくない3回の及川や5回の前川の打球が敵失と判定されたり、運もなかった。

打線が低調なので、これほどの投球をされるとノーノーも起こり得る。でも2敗や3敗になるわけではない。1敗は1敗だ。これ以上最悪のことはないし、開き直って切り替えるしかない。それよりも、戸郷に今季1度も勝てていない事実を直視するべきだろう。6回を無失点に抑えられた開幕戦から3戦3敗。甲子園では22年から4連勝されている。戸郷から見て阪神戦は通算12勝6敗で、阪神には苦手意識が芽生え始めていると思う。この先、巨人はどんどん戸郷をぶつけてくるだろう。終盤の優勝争いで痛い星を落としかねないだけに、対策は急務だ。

阪神の投手陣も立派だった。特に及川はプロ2度目の先発ながら、戸郷と渡り合う見事な投球を見せた。こちらも真っすぐが走っていたし、右打者の懐に食い込むカットボールが効果的。5回に泉口に浴びた適時打は数少ない失投だったが、その他は腕も振れて何度も詰まらせていた。マメをつぶしての降板は残念だが、先発適性を示したのは今後の明るい材料だ。緊急救援した漆原以降、岡留、富田、浜地も0を並べたから、ノーノーでも1本さえ出ればの緊迫ゲームになった。(日刊スポーツ評論家)