最下位のヤクルトに2連敗し、今度は5位中日との2連戦。下位チームに連敗を続けるようではいけない。試合のカギを握ったのは、中4日で先発した菅野智之だろう。
前回の先発では5回57球で降板していたが、相手は首位争いをしていた広島で、重圧はあったはず。34歳という年齢的な部分からも、どのくらいコンディションが整っているかが、勝負の分かれ目だと思っていた。
投球そのものより「どうしても勝ちたい」という執念を感じた。2点をリードした5回表だった。2死一塁、福永を外角低めのスライダーでファーストゴロに討ち取ったと思ったが、一塁手の大城卓が打球を追わずにセカンドの内野安打になった。ベースカバーに向かっていた菅野も、打球の転がったコースを指した。
思わず不満の声を上げたのだろう。この場面、福永は同点の走者で、打席には1発のある細川を迎える。ただでさえ、このイニングの先頭打者の板山は、二塁内野安打だった。ここでも一塁の大城卓がボールを捕りにいっていればアウトにできる可能性もあったと思う。それだけに「捕りにいってくれよ」という思いが、行動に出てしまったのだと思う。
本来ならこの手の不満は行動に出してはいけない。内野がマウンドに集まると、捕手の小林が大城卓のお尻をポンポンとたたいてフォロー。菅野自身も大城卓とはバッテリーを組んだことがあるし、東海大の後輩でもある。不慣れな一塁守備だったことも分かっているだろうし、気持ちを切り替えていた。
とはいえ、ここで打たれて失点につながれば、チームの雰囲気は悪くなる。細川に対し、1-2で追い込むと、目いっぱいに力を込めた真っすぐで空振り三振。派手なガッツポーズをしたように、菅野も大城卓のために、なんとしても抑えたい気持ちが強かったと思う。4回1死二、三塁からも村松をフォークで3球三振。勝負どころでねじ伏せる投球は、見事だった。
6回途中でマウンドを降り、リリーフの高梨が同点のタイムリーを浴びて勝ち星は挙げられなかったが、十分な投球内容だった。今試合は93球。次回の先発は中5日で広島戦か、中6日で阪神戦にも先発できる。どちらのチームに先発するかは分からないが、大事な試合になる。ベテランのオーバーアクションも、闘争心が出ているからこそ。次戦のピッチングにも期待したい。(日刊スポーツ評論家)




