移籍後初登板となった田中将は5回を投げて1失点。通算198勝目を新天地で挙げた。キャンプからフォームを改造し、完全復活が話題となっていたが、重圧のかかるマウンドで結果を出した。最終イニングとなる5回の88球目と89球目には今試合の最速149キロをマーク。勝負どころで経験豊富なベテランの意地をみせた。

ただ、「今後も勝ち星を積み上げられるか?」と問われれば「まだ分からない」としか答えられない。真っすぐは140キロ台中盤をマークしていたが、逆球も多く、リリースでバチッとくるような迫力はなかった。どちらかというと、今試合は中日打線に助けられたようなイメージの方が強かった。

田中将を助けてしまったのが、中日の4番石川だった。初回1死一、二塁で打席を迎え、カウントは3ボールとなった。ここからど真ん中の真っすぐを見逃してストライク。次の内角真っすぐを打って、注文通りのショートゴロゲッツーだった。

経験と実績のない4番打者の弱点が出たと言っていいのだろう。得点圏に走者がいるのだから、3ボールからでも打っていい場面。「甘いコースだけ」や「真っすぐだけ」とか、狙い球を絞って「そこにきたら打つぞ」という準備ができていなかったのか、打つ自信がないような雰囲気だった。

そして物足りないのはカウント3-1からのスイング。内角高めの真っすぐに対し、ドン詰まりのショートゴロ。巨人バッテリーからすれば、考えた通りの併殺だろう。他に狙い球を絞っていれば打たなくてもいい球だし、打つのならポイントを前にして準備してスイングする必要のある球だった。

3回2死二塁からは3番細川にストレートの四球。明らかに石川と勝負を挑まれていた。6回は先頭打者で逆方向にヒットし、第4打席は四球。2度の出塁で格好はついたが、まだまだチームの4番を任せられるような内容ではなかった。

少し厳しい評論になってしまったが、石川が将来的に4番を打ってほしい選手なのは間違いない。それなら、もっと気楽な気持ちで1発を狙っていけるような6番や7番での起用がいいと思う。そこで実績を作り、結果を残していくことで打順を上げていけばいい。そうやって4番になったのなら、自信を持って今試合のような3ボールから打っていけるバッターになれると思う。

巨人の田中将は、この1勝をきっかけに復活を遂げてほしい。そして石川もチャンスで打てなかった悔しさを糧に、技術を磨いてほしい。勝敗より、そんな気持ちを強く感じた試合だった。(日刊スポーツ評論家)