これが開幕投手を務めた投手なのか? 先発した巨人戸郷翔征投手(25)のピッチングは、とてもエースと呼べる内容ではなかった。少し厳しくなってしまうが、ピッチングの内容だけで言っているのではない。打たれた後やベンチに帰るときに、自信なさげに首をかしげたり、不安そうな顔で投げている姿は、見ていて痛々しいほどだった。
昨年あたりから感じていたことだが、少しフォームが崩れていた。戸郷は変幻自在にコントロールできるフォークが武器だが、それを生かすための真っすぐに威力がない。フォーム的には上半身が前に突っ込み過ぎで、リリース時に踏み込んだ左足が突っ張りすぎ。もともとそういう傾向があったフォームだが、軸足にも体重が乗らず、つんのめったようなフィニッシュになっている。
体も開いて真っすぐがシュート回転するから、バッターは真っすぐとフォークの見極めがしやすくなる。球速も140キロ中盤しか出ていない。これだと真っすぐは打たれるし、フォークも見極められてしまう。
初回、先頭打者の近本には内角を狙った真っすぐがシュート回転し、センターにきっちりとはじき返された。3回2死二塁からも、外角を狙った真っすぐがシュート回転して甘くなり、大山にセンター前にタイムリーを打たれた。木浪への四球もフルカウントから低めのフォークを見逃されている。真っすぐもフォークも阪神打線に通用していなかった。
3イニングで3失点。3回裏には代打を出され、マウンドを降りた。個人的には開幕を任せた投手であり「エースがそんな状態でどうする」という意味を込めて、続投させた方がいいと思った。この状態では抑えられなかったと思うが、実績はある投手で、チームにとっても立て直さなければ困る投手。“カツ”を入れる意味でも、投げさせたかった。ベンチにも同じ気持ちがあったと思うが、あまりにも不安そうな表情で投げるため、降板させたのだろう。
一方の村上は素晴らしかった。開幕戦で自己最多の135球を投げ、状態が気になったが、悪かったのは立ち上がりだけ。しっかりと立て直した。昨年、思うようなピッチングができなかっただけに、自分の投球フォームを見直したのだろう。修正能力が上がっている感じがした。
プロ入り後、戸郷は順調に成長してきた。その分、長く苦しんだ期間がほとんどないため、修正能力という点に弱点があるのだろう。ただ、開幕を任されたエース。63球でマウンドを降りたのだから、次の登板までにブルペンで投げ込みができる。しっかりと復調した姿を見せてもらいたい。(日刊スポーツ評論家)




