思わず苦笑いしてしまった。前日の中止で中5日のスライド登板したバウアーが、9回のマウンドに上がった。ここまでの球数は110球。7回あたりから少し球も上ずりだしていた。8回裏に1点を勝ち越し、勝ち投手の権利を得ただけに、交代すると思っていたところだった。
日本ではまだ完封勝ちがなかっただけに、本人が投げたがったのだろう。そんな姿勢に球場のファンも盛り上がっていた。「ボールじゃないかな」と思うような球もストライクに判定されたのは、そんな球場の雰囲気が後押ししたのだと思う。1年前のピッチングと比べると、ずいぶんと変化球の割合が多くなったが、クイックを織り交ぜた投球は、板についてきた印象だった。
DeNAにとって、このバウアーの完封勝ちはとても価値があったと思う。正直に言うと、開幕当初のバウアーは「勝てそうな感じ」がしなかった。それでも本人の意思を尊重してか、登板間隔を詰めて先発するスタイルはそのままだった。前回の4月27日のピッチングはよかったが、今試合で対戦する巨人には勝ち星がなく、4月16日の巨人戦でも5回を投げて5失点だった。
勝てる投手が間隔を詰めて先発するならいいが、そうではない投手だと、チームの雰囲気は悪くなりやすい。バウアーが中4日で先発すれば、他の先発投手の先発日程は一定にならなくなる。調整が難しくなるし、不満もたまりやすくなる危険をはらんでいた。
今試合は中4日での先発から、スライドで1日ずれた先発だった。相手は苦手にしている巨人で、バウアーが打ち込まれて負ければ、チームにも「なぜ?」という空気が流れたかもしれない。しかし、ふたを開けてみれば1-0の完封勝ち。特にブレーキの利いたナックルカーブは、バッターにとって厄介な変化球。誰も文句の言えない結果を、自らの右腕で残してみせた。
プロである以上、バウアーが絶対的な成績を挙げていけば、間隔を詰めた登板でも誰も文句はいえなくなる。そんな空気を封印するような勝利になった。
一方、巨人は歯車が狂っていた。バウアーが苦手にする機動力野球で攻めるのはいいが、3度の盗塁失敗に加え、岡本がセカンドオーバーランでアウトになったり、無死二塁からは赤星が送りバントを失敗した。最初の泉口の盗塁は2-2から走ったものだが、ここで走るなら1球待って、フルカウントで走った方がよかった。岡本の盗塁死はフルカウントから打者の甲斐が甘い真っすぐを見逃したもの。ここで盗塁が刺されやすくなる真っすぐの見逃しは最悪だった。赤星の送りバント失敗は打球が上がったために走者の萩尾が走れなかったが、三塁へのスタートがきれないほどの打球ではなかった。どれも責められるようなミスではないが、どれかひとつでもフォローしていれば、展開が変わっていたかもしれない。(日刊スポーツ評論家)




