先発して快投を続けていた楽天のウレーニャが、5回で突然、降板した。2番手の内が3連打を浴びて同点にされると、3番手で登板した加治屋が清宮幸に3ラン。ウレーニャの球数は65球。下半身の張りということで、交代は仕方ないと同情はできるが、鮮やかな継投でピンチを切り抜けた日本ハムと比較すると、継投の差が勝負を分けた。

今季2試合の加藤貴は、初回に不運な3連打から1点を失ったが、その後は持ち味でもあるコーナーを突くピッチングで追加点を与えないでいた。そして逆転した直後の6回裏だった。辰己、中島に連続ヒットを浴び、黒川に四球を与えて無死満塁のピンチを迎えると、新庄監督はちゅうちょなく継投に入った。

制球力のいい加藤貴が四球を出し、打席に迎えたのは犠牲フライとセンター前ヒットを打たれていた右打者の伊藤だった。当たり前の継投のように思うが、リリーフした玉井はシュートを武器にするタイプ。内角を攻めれば死球で押し出しの可能性もあるし、3点差という状況だと1発が出れば逆転になる。しかもピンチを迎えたとはいえ、加藤貴は2回以降、無失点投球で実績のあるベテラン左腕。それでも交代を告げる新庄監督の姿を見る限り、迷いは感じなかった。ベンチに迷いがあると選手にも伝わってしまうが、玉井は見事に期待にこたえ、無失点に抑えた。

打つ方でも、新庄監督の方針が浸透している。清宮幸の勝ち越し3ランはセンターの左寄りに入ったもの。完全な逆方向ではないが、清宮幸はプルヒッターで、逆方向への長打はほとんどない。状況も無死一、二塁で、併殺の可能性もあった。引っ張って進塁打を打とうとしていれば、アウトコースの144キロの真っすぐを打っても打球は上がらなかったと思う。1ボールから、併殺を恐れず、コースなりに素直に打ち返していた。成長を証明するような1発であり、こぢんまりとしたバッターにしないように教育し続けた新庄監督の手腕によるものだろう。アクシデントがあったにせよ、日本ハムにとっては会心の逆転勝ちとなった。(日刊スポーツ評論家)

楽天対日本ハム 力投する日本ハム2番手の玉井(撮影・鈴木正人) 
楽天対日本ハム 力投する日本ハム2番手の玉井(撮影・鈴木正人)