逆転してから、あっけなく守備のほころびもあり、再逆転され、ダメを押され、最後は沈黙した。そんな敗戦だった。一方的に打たれた惨敗のような負け方より、よけいにこたえる敗戦に感じたのは、私がOBだからだろうか。巨人ファンの方々の砂を噛む思いが胸に響くようだ。
田中将が先制を許したが、すぐに佐々木の適時打で追いつき、3回にはダルベック、キャベッジのタイムリーで逆転。両外国人はここまで良くチームを引っ張っている。こういう時こそ、彼らのようなアグレッシブなバッティングがチームに活力をもたらす。
それが6回に今宮の左中間への当たりを、キャベッジと松本が譲り合うようにしてタイムリー二塁打としたところから、ガタガタと崩れてしまった。あの場面は難しい打球だった。その上で指摘すると、ほぼ左中間の真ん中付近の打球だったのだが、そのケースではどちらが優先して追うのか、あらかじめ話し合っておかないと、これからも同じミスが出る。
キャベッジは夢中になるとやや周囲が見えなくなる傾向がある。それは走塁面でも何度も経験していることだ。であれば、この日ならば松本、佐々木をまじえて確認作業をしておけば、仮にキャベッジが追いつけなかったとしても、いち早く松本がカバーに入れただろうし、一塁山本の生還を止めることができたかもしれない。
そこから先は、救援投手が打ち込まれ、あっけなく試合が決まった。そして象徴的だったのは4点差の8回裏、先頭ダルベック。それまでの闘志あふれるスイングは鳴りをひそめ、簡単に2ストライクと追い込まれると、最後は外角まっすぐをあっさりと見逃し。3球三振。3回に見せた鋭いスイングからは想像もできない淡泊さだった。
チームが緊急事態で、選手個々人にも複雑な思いがあるだろう。それは、私にもある程度は想像できる。それでも、これだけは言いたい。ユニホームを脱いだら、あれやこれや考えることもいいだろう。だが、ユニホームを着て球場に来る以上、どんなにもやもやを抱えていても、自分の役割を果たすんだとの強い決意を胸に、グラウンドに立たなければ。
応援してくださるファンは、どんな時も声援を送ってくれる。それを忘れてはいけない。(日刊スポーツ評論家)




