7月31日に日本ハムから中日へ金銭トレードで移籍した谷元から、こんな話を聞いたことがあった。小学生時代に好きだった科目を尋ねた時だ。「体育はもちろん好きでしたけど、図工が一番ですかね。ものつくりが、大好きだったんですよ」。電動のこぎりやはんだごてを使った工作、ラジオ付きの懐中電灯の作製にも夢中になったという。「そういう時は時間が過ぎるのが、あっという間。そういう集中力が、今につながっているのかも」。

 ピンチの場面、ロングリリーフや勝ちパターンでのセットアッパー、時にはクローザー、はたまた先発も任されたこともあった。難しい役回りにも、平然と投げ続けて立ち位置を築いていった姿は、まさに職人。そんな気質は、小さい頃から養われていたのかもしれない。

 今回はトレード期限ギリギリの移籍劇だったが、プロ野球ではルールに則った、誰にでも起こり得ることでもある。谷元なら、きっと新天地でも抜群の集中力で存在感を発揮できると思う。また、日本ハムの若手投手陣にとっては願ってもないチャンスが目の前に転がってきた。誰が抜けた穴を埋めるのか。

 きっと多くの若手が谷元の立ち居振る舞いを見てきたはず。その姿から学んだことを体現して台頭する投手が出てくるか。下位に沈む中で迎えるシーズン終盤だが、注目したい。【日本ハム担当 木下大輔】