1年たって、ワンプレーに成長を感じた。

 7月28日の西武14回戦(ZOZOマリン)。0-2で迎えた3回1死二、三塁。同点のチャンスで、ロッテ加藤翔平外野手(26)は落ち着いて打席に向かった。野上の初球がワンバウンドの暴投になった。三塁走者が生還し、1点差。なお、1死三塁でセーフティースクイズのサインが出た。2球目の変化球を一塁手の右横へ転がした。よどみない攻撃に、マウンドの野上が思わず体勢を崩したほど。同点の走者をかえした加藤は、満面の笑みを浮かべた。

 5回には勝ち越しの2点適時三塁打を放った。初回にも中前打を放っており、その日は2安打3打点の活躍だった。

 5回の勝ち越し打よりも、3回のセーフティースクイズを決めたことの方がうれしかったという。わけがある。「1年前を思い出しました」。16年7月19日の西武戦。1番中堅で先発出場した。1点を追う3回1死一、三塁で打席が回ってきた。マウンドはポーリーノ。ここで、セーフティースクイズのサインが出た。しかし、無情にも捕邪飛。直後の守りからベンチに下げられた。懲罰交代は明らか。試合後、翌日の2軍戦にも出るよう言われた。もう1度、基本からやり直せ、ということ。「ポーリーノはクイックが速い。それで早めに構え過ぎたのがいけなかった」と反省するしかなかった。

 それから、ちょうど1年。くしくも、同じ西武が相手。同じような場面で、今度はきっちりセーフティースクイズを決めた。

 オフの間も、よく1人でマシン相手にバント練習する姿を目にする。地道な取り組みが、ここぞの場面で実ったわけだが、加藤いわく「気持ち」の面も大きかった。「去年は打撃の状態が悪くて、打席では打とう、打とうと。そんな時にセーフティーのサイン。『あ!』となってしまって…。今回は、1打席目でヒットを打ってましたし、頭の片隅に『セーフティーもある』と思ってました」。心の準備ができていた。

 野球はつくづくメンタルが大事だと、あらためて思わされた。加藤は高い身体能力を持ちながら、なかなか発揮できずにきた。今年で5年目。心と技を備えつつある。レギュラーを確固たるものにするチャンスだ。【ロッテ担当=古川真弥】