DeNAが暑い暑い夏場を乗り越えようとしている。8月最後のカード、ナゴヤドームでの中日3連戦を残し、8月の勝率5割以上を決めた。これで3カ月連続の月間勝ち越し達成。Aクラスをしっかりキープし、2位浮上をにらみながら終盤戦に入る。8月の日程は本拠地・横浜スタジアムで15試合(1試合雨天中止)、神宮球場6試合と、とにかく屋外球場が多かった。空調の効いたドームではなく、8月の強烈な日差しを受ける中での試合。そんな状況を見越してDeNAトレーナー陣が手を打っていた。

 その名も「プラスA(ええ)」作戦。塚原賢治トレーナーは「ちょっとしたプラスになる、ええことを取り入れていこうというもの。普段の生活からでも、少しのことを積み重ねていけたらと」。野球にとって、自分の体にとって「ええ(A)こと」をやっていこうというもの。今春横浜スタジアムの新名所としてリニューアルオープンしたオフィシャルショップ「+B(プラスビー)」にインスパイアされ、関西弁にもじったダジャレから始まった。

 ハマスタのロッカーにはあらゆるところに、“ええこと”が書かれた張り紙で、プラス思考を選手たちにすり込んでいく。トレーナー陣が日替わりで考え、ミーティングでも発表。例えばある日の同トレーナーは「車のシートを倒しすぎない」と書いた。「だらっと座ってしまうと、どうしても猫背になってしまう。そうなると力が入りづらくなりますから」。無意識に看過しがちなことに、直接注意するのではなく、ちょっとしたアイデアやヒントを与える。

 ビジターの神宮球場でも、張り紙がそこらじゅうに貼られたという。猛烈な暑さが続いた8月もDeNAの勢いは衰えるどころか、首位・広島にハマスタで3戦連続サヨナラ勝利。その裏には、ダジャレで始まった下支えがあった。【DeNA担当 栗田成芳】