愛すべき戦力が帰ってきた。鶴岡慎也捕手(37)が、5年ぶりに日本ハムに復帰した。ガチャピン似のチャームポイントも、顔に似合わない毒舌ぶり? も健在。「前にいた時との違いといったら、年齢が近い後輩が減ったくらいかな」。チームではベテラン格の1人ながら、年下の選手からの信頼も絶大。投手、野手のポジションも関係なく、人を引きつける魅力を持っている。

 象徴的だったシーンがある。10日オリックス戦。延長12回の2死満塁で、悲劇は起きた。投手浦野のボールがワンバウンドし後逸。鶴岡は本塁カバーの浦野に向かって送球し、サヨナラ負けのピンチを切り抜けたと思われた。送球は、浦野ではなく打席を外れていた小田に直撃。三塁走者の生還を許した。記録は鶴岡の失策。後味の悪い敗戦だった。

送球ミスでサヨナラの走者に生還を許した鶴岡慎也(左)。走者安達了一(2018年5月10日撮影)
送球ミスでサヨナラの走者に生還を許した鶴岡慎也(左)。走者安達了一(2018年5月10日撮影)

 不穏なムードは、すぐにかき消された。翌12日からのソフトバンク戦。前日本ハムの川島ら元チームメートが鶴岡目がけて相手ベンチに集まり、こぞってイジっていた。一夜明ければ、笑いに変えられる。頭をかきながら対応していた鶴岡の人柄に、こちらも笑ってしまった。嫌みがなく寛大な姿に、9歳下の中田も思わず「ツルちゃん」と呼んでしまうのかもしれない。

 昨季ソフトバンクで先発マスクをかぶったのは、わずか2試合。一方で、常勝チームにいながら客観視することが出来た。「西武やソフトバンクは完成している。その分ファイターズは、1個でも勝ったら食らいついていける。伸びしろがあるチーム」。今季開幕前には、抑え不在の投手事情に頭を悩ませていた。「37歳にもなって、自分のことばかりじゃダメでしょ」。

日本ハム鶴岡慎也(2018年3月24日撮影)
日本ハム鶴岡慎也(2018年3月24日撮影)

 FA移籍して、再びFAで古巣に戻るケースは史上初。舞い戻ってきた鶴岡の効果は、きっとシーズン後に表れている。【日本ハム担当 田中彩友美】