ソフトバンク上林誠知外野手(22)は、今季チームメートの城所龍磨外野手(32)から借りたグラブで守備についている。きっかけは開幕8試合目、4月8日の仙台での楽天戦だった。右翼を守っていた上林は銀次の右中間の打球に追いつき、グラブに当てたが捕球できず三塁打にしてしまった。

 城所は「打球をグラブで触ったのなら捕れと言いました。そのころ、上林はグラブに当てた打球をポロポロしていた。なら、オレのを使えよと貸しました」と明かした。グラブの土手に当たってもはじきにくい、捕球部分が深くて丸くできている。守備固めを主な仕事とする城所の逸品だ。

 「キドコロ貸し出し中」で上林の守備は安定した。9日の交流戦中日戦からは、右足太もも裏を痛めた柳田に代わって中堅を任されている。達川ヘッドコーチが「若くて動ける。成長している」と、首脳陣は近い将来、不動の中堅手にしようと考えている。

 城所のグラブを参考にした新しいグラブを、上林は現在練習で試している。上林は「まだダメですね」としっくりこない様子。城所は「そろそろオレのグラブ返してよ」と笑う。同じ左打ちの外野手。9月で33歳になる城所にとって、上林の成長は自分の居場所を失いかねない。それでもチームの勝利のために後輩に力を貸す。ベンチに「待機中」なだけでなく、城所の貢献している部分は大きい。【ソフトバンク担当=石橋隆雄】

捕手の練習を行う城所外野手(撮影・石橋隆雄)
捕手の練習を行う城所外野手(撮影・石橋隆雄)