中日松坂大輔投手(37)が全セの先発として登板。12年ぶりの球宴マウンドは予定の2回を投げられず、1回4安打5失点だった。

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 意外なほど素直な言葉だった。

 「1度くらい、しっかり仕事をしているところを見せたいですよね、父親としても…」。

 今年1月。中日の入団テストに備え、米ロサンゼルスで自主トレに励んでいた松坂は、日米通算プロ20年目への思いを口にした。ソフトバンクに在籍した3年間で公式戦の登板はわずか1試合。メジャーでの最後の2年間も、納得できる成績を残せなかった。11年6月に「トミー・ジョン」と呼ばれる右肘手術を受け、日本球界復帰後は右肩痛に見舞われた。12歳の長女、10歳の長男はともかく、8歳の次女の前では、しっかりとした仕事を見せることができていなかった。「1度くらい」は、飾ることのない、本音だった。

 12年ぶりの球宴には、夏休みで帰国中の妻倫世さんと子供たちも応援に駆け付けた。すでに長男は、自宅のあるボストンで野球チームに所属。投手と遊撃手を務めており、「センスはどうなんですかね…」と話す松坂の表情も自然と緩む。今回はファン投票選出での先発。スポットライトを浴びる夢舞台は、松坂家にとっても忘れられない試合となった。【MLB担当=四竈衛】