昨年は日本シリーズ出場のDeNAだが、今季は借金11の5位と低迷している。

1年で成績が暗転した原因は、ラミレス監督が自ら育てたレギュラーを自ら手放した点が大きい。得点数はリーグ2位から5位に。先発投手の勝利数は55勝から33勝。20勝減はDeNAだけだ。

打線は中堅桑原、遊撃倉本、右翼梶谷、捕手戸柱が、今季は定位置を失った。梶谷は故障で仕方ないが、戸柱は開幕2戦目、桑原は3戦目で外された。二塁にコンバートされた倉本も1カ月で見切られた。

昨年までの2年間、ラミレス監督は辛抱強く若手を起用した。特に、通常は打てない選手が守ることが多い遊撃と捕手に50打点以上のコンビを育成し、打線の切れ目をなくした。しかし、昨年は186あった6番以下の打点が、今年は130しかない。7日のように6番以下が打てば、主軸は強力なだけに得点力は昨年並みに戻る。FA加入した大和の遊撃守備力は誰もが認めるが、唯一固定できていなかった二塁で起用していたら、倉本は打撃不振に陥らなかったかもしれない。

投手陣は、主力が次々と2軍行きとなった。特にエース候補の今永が3度、開幕投手の石田が4度の2軍落ちは、過度に実績を度外視し、緊張感を生んでいるように思える。昨季ローテーションの今永、石田、浜口の左トリオ、右の井納とウィーランドは10勝級の能力がある。ここにルーキー東が加わる予定が、逆に東の孤軍奮闘になった。

開幕時は中継ぎ、3度2軍落ちした井納だが、先発の潜在能力はやはり一級品だ。指揮官が昨年までの「寛容さ」で包めば、選手は自信を取り戻すきっかけになるはずだ。【斎藤直樹】