初夏のような日差しを浴び、「道産子」が躍動した。ソフトバンク4年目の古谷優人投手(20)が紅白戦の白組で先発。2回をパーフェクトに封じた。打者6人で外野に運ばれた打球は真砂の左飛1本だけだ。圧巻は初回の3人目。釜元に対してカウント2-2から153キロの速球を投げ込み、見逃し三振に切った。

「スピードより投球の安定感。いつでも力は出せるけど、いかに力を抜くか。昨年の秋から取り組んでいるので、最後までA組のキャンプにいられるようにしっかりやっていきたい」。 ホークスがキャンプを張る宮崎・生目の杜は2月にもかかわらず、気温が21度まで上昇した。4年目サウスポーは一気の「発芽」で、首脳陣にアピールしたいところだった。入団から3年間は「制球難」に苦しんだ。昨秋のキャンプで工藤監督から直接指導を受け、課題も克服しつつある。ウインター・リーグに派遣された台湾でも1勝をマーク。現地に足を運んでくれた工藤監督の「四球を気にするな。使ったほうが悪いくらいに思え」の言葉も大きな心の支え。今季目標は1軍登板30試合に定めている。

北海道・幕別町出身。零下に凍える故郷に帰省した昨年暮れ。クリスマスの日を選んで日菜夫人(21)と地元役場に婚姻届を提出した。左腕にかかる責任は重くなった。福岡・筑後市での自主トレは日菜さん手作りのおにぎりを毎日、おなかいっぱい詰め込んで汗を流した。「今日は中継ぎの気持ちで投げました。まだまだやらなきゃならないことがたくさんです」。登板後、高村投手コーチのグータッチに笑顔で右こぶしを突き出した。期待のサウスポーが、1軍公式戦デビュー&大活躍を目指す。

【ソフトバンク担当 佐竹英治】