<ソフトバンク4-2西武>◇11日◇ペイペイドーム

ソフトバンクが「過酷な1日」を、見事な勝利で飾った。仙台での5時間半超のロングゲームを終え、当日移動。今季2度目の「移動試合」は疲労困憊(こんぱい)の条件にもかかわらず、宿敵西武を倒した。

先週はオリックス戦を終え、当日移動で福岡に戻るとロッテと3連敗。シーズンのゴールテープを切るまで、当日移動ゲームは残り7週連続で7試合が組まれている。1週間で3連戦が2カードのスケジュールだけに、毎週金曜日が当日移動の試合となる。「魔の金曜日」を笑顔で終えられるか。リーグVのカギとなることは間違いない。7試合のうち5試合が遠征先から本拠地ペイペイドームへの移動。ホームで戦えるアドバンテージは必勝への一助になるかもしれない。

仙台から午前の便で空路、福岡に戻った。機内はいびきが響いたことだろう。疲れを感じさせない動きを見せたのは、選手会長の中村晃だ。3回に2点目となる犠飛を打ち上げ、終盤8回には一塁ゴロをメヒアが右前にそらすと、果敢に二塁を陥れた(記録は失策)。両ヒザの痛みを抱えながら懸命に走った。昨年から悩まされている自律神経失調症で、最も苦しかったのは睡眠障がい。今でも、快眠は難しい。「今年は何としても優勝したいし、自分のことよりはチームのこと」と、フォア・ザ・チームに徹している。

メモリアルの数字も目の前に迫った。通算1000安打に残り4本。チームの快勝とともに本拠地福岡で決めてくれれば、ファンもうれしかろう。西武との同カードは残り2戦。この男なら、無理な数字ではない。【ソフトバンク担当 佐竹英治】

試合前、円陣を組むソフトバンクナイン(撮影・今浪浩三)
試合前、円陣を組むソフトバンクナイン(撮影・今浪浩三)