大阪・舞洲の球団施設で、オリックスの新人がシーズン開幕に向け、合同自主練習に励んでいる。投手陣はすでにブルペン入り。ドラフト4位の中川颯投手(22=立大)は、23日が3度目のブルペン投球に。サブマリン投法で、捕手を座らせての投球練習も行った。

前日の22日、楽天牧田、ソフトバンク高橋礼、西武与座のサブマリン勢が仙台市内での合同自主トレを公開した。NPBの現役サブマリンは、この3人と中川颯だけ。「アンダースローの投手にしか感じられないものとかわからないものがあると思うので。そこを共有してみたいなと思います」と中川颯は興味を示し「まずは自分がそのレベルまでいかないと、たぶん行かせていただけないと思う」と“参加資格”をレベルアップのモチベーションの1つに挙げた。

ただ今後、サブマリンが増えていくことを望むかどうかの問いには「普通にやれるなら、普通にやった方がいい」と苦笑しながら答えた。「どこかしら野球に対しての執念だとか、人と違っていることをやりたいだとか、そういう気持ちを持っている人がなると思うので」と続けた答えにはっとした。

ベンチ入りやエースの立場を追い求め、人とは違うものを身につけようと下手投げに活路を見いだす。アマチュア野球を担当していたとき、そういう選手を幾度か取材した。強い足腰、肩の広い可動域を手に入れようと努力し、下手から投げられるようになっても、願った成果を得られる選手はわずかだろう。中川颯の言う「野球に対しての執念」がなければ、なしえないことかもしれない。

中川颯は神奈川・小雀(こすずめ)小6年のとき、所属した野球チームの監督だった父貴成さん(50)の勧めで下手投げに転向。長く野球を続けていくための生き残りの発想から、父子の挑戦は始まった。

「青濤館」入寮の6日。車から降りた姿は、ブレザーがよく似合ってさわやかだった。取材に答える姿勢も丁寧で、物腰は柔らかい。ただ、人とは違う道のりを歩き続けてきた気持ちの強さが23日の受け答えに見えた。【遊軍=堀まどか】