ソフトバンクの今キャンプの注目の1つは「ホットコーナー争い」だった。ポスト松田に向け、リチャード、増田、コンバート案も出た栗原の台頭が期待された。だが「だった」と表現したように、サード松田は現時点では揺るがない。A組で誰よりも声を張り上げキャンプをけん引しているのは、間違いなく今年5月で38歳になる松田である。

特守で元気いっぱいの松田(2月5日撮影)
特守で元気いっぱいの松田(2月5日撮影)

小久保ヘッドコーチもキャンプイン後「松田が現時点ではレギュラー」と話していたが、うなずけるハッスルぶりだ。長年レギュラーを張っていれば、追いかけてくる選手と自らの力量差はわかるもの。松田は優越感たっぷりに、練習に汗を流している。

日本シリーズ5連覇に向かうチームにとって、ある意味「順調なキャンプ」だが、「収まるところに収まって」いては次代への活性化も鈍化しそうだ。何より、支配下登録を目指していた昨年と比べ、期待のリチャードにさらなる「闘争心」が見られないのが少し残念である。1日1000スイングにハードな練習。左手のひらの皮はむけ、前日(5日)はランニングで足のマメもつぶした。初日から連日、王球団会長も直接指導を行うなど大注目の男。もっともっと貪欲に「レギュラーを取るんだ!」という姿勢を見せてもらいたい。

三塁の特守をするリチャード。後方は松田(2月5日撮影)
三塁の特守をするリチャード。後方は松田(2月5日撮影)

サブ球場でのB組の打撃練習で、3年目の水谷が尾形の直球を捉えて左中間フェンスに突き刺した。「アイツには言っているんだけど、この世界は3年目が早すぎるとか関係ないんだぞ、とね」。水谷の担当だった山崎スカウトは、ハッパをかけ続ける。B組で目立った選手がいれば、迷わずA組に引き上げてみてはどうか。合同キャンプの最大の利点であり、ホークスが目指す競争激化を刺激するのではないだろうか。【ソフトバンク担当 佐竹英治】