ロッテ石垣島キャンプに6日、侍ジャパンの稲葉篤紀監督(48)が訪れた。1軍の打撃練習やブルペンを視察し、井口資仁監督(46)らと言葉を交わした。

その頃、同じ敷地内にある2軍球場。侍入りにあこがれる若者が、バント練習をしていた。育成ドラフト1位の谷川唯人捕手(18=立正大淞南)だ。背番号122の育成選手。オリンピック(五輪)どころか、1軍公式戦への出場資格もまだない。

報道陣に「日本代表に入りたいですか?」などと問われて、初めて「はい」という選手が多い。谷川は違った。昨年12月の新入団選手会見で夢を問われ「侍ジャパンを担えるような捕手になることです。小さい頃から『侍ジャパンで試合に出たい』という夢があったので、かなえるために頑張っていきたいです」と堂々と宣言した。

小学生になる直前の、09年3月だった。WBCのテレビ中継に、幼心に興奮した。「城島さんと、それにイチローさんの韓国戦のセンター前ですね。侍ジャパンの雰囲気を見ていたら、ここでやりたいなって感じました」。

侍入りのチャンスはあった。高校進学直前にプレーした「Kボール」で島根県代表に選ばれ、全国大会に出場。強豪を破り4強入りした。U15日本代表の選考には漏れたが「全国にはすごい選手がいっぱいいるんだな」と夢を新たにする学びの場になった。

今は無理でも、いつか。「5、6年後を目安に伸びていきたい」と見据える。二木康太投手(25)の投球を堂々と受け、自慢の肩のスタミナを磨き、充実のキャンプを過ごす。育成指名でも期待は大きい。「チャンスが来たら一気につかめるようにしたいです」。日焼けした笑顔で夢見た。【ロッテ担当 金子真仁】

09年3月、第2回WBC決勝 韓国対日本 10回表2死二、三塁、イチローは中前適時打を放つ
09年3月、第2回WBC決勝 韓国対日本 10回表2死二、三塁、イチローは中前適時打を放つ