気温がグーンと上昇した宮崎は暖かかった。ソフトバンクの紅白戦はこの日で3試合目。プレーボールがかかるとスタンドに上がってきて選手の動きを見つめる小久保ヘッドコーチも、途中からはグラウンドコートを脱いで戦況を見つめていた。

紅白戦を終えて引き揚げる小久保ヘッドコーチ(撮影・岩下翔太)
紅白戦を終えて引き揚げる小久保ヘッドコーチ(撮影・岩下翔太)

紅白戦2試合で5打席ノーヒットだった甲斐が5回に左前適時打を放つと、続く6回には1死満塁から走者一掃となる左中間越えの三塁打。打撃向上を毎年の目標に掲げる司令塔にとっては、気分よく23日からの対外試合5試合に臨めるのではないだろうか。偉大なホークスOB野村さんの背番号「19」を背負った。自慢の強肩に、守備の要と言っても首脳陣の要求は「打てて守れる捕手」。1億円超のプレーヤーと言ってもまだまだ満足するわけにはいかない。

メイン球場のアイビースタジアム壁面にはソフトバンクになってからのVプレートが飾られている。10年の初Vから昨年のシリーズ4連覇までゴールドに輝く8枚の記念プレートは何とも誇らしい。工藤監督となって6年で5度の日本一。今秋にも9枚目のプレートを飾りたいものだ。

打撃練習中のリチャード(左)に声をかける王球団会長(撮影・岩下翔太)
打撃練習中のリチャード(左)に声をかける王球団会長(撮影・岩下翔太)

「今年は打倒マー君(楽天田中将)という目標ができたからね」

壁面に輝くプレートを見ながら、拳をつくったのは王球団会長だった。この日、沖縄で楽天復帰後の初マウンドに上がったマー君は日本ハム中田に3ランを浴びた。まだまだ調整段階なのだろう。王会長も8年ぶりに対決する豪腕攻略に早くも胸を高鳴らせている。マー君が不在の7年間は文字通りホークス躍進の時。16年こそ日本ハムに日本一の座を譲ったが、5連覇はチームの悲願。小久保ヘッドの加入で打線向上を目指すチームがいかにマー君を攻略するか。春の日差しを浴びながら、早くも対決が待ち遠しくなった。【ソフトバンク担当 佐竹英治】