<DeNA2-9阪神>◇9日◇横浜

阪神のドラフト1位佐藤輝明内野手(22)がハマの夜空に衝撃のアーチをかけた。6回に右中間の場外へ特大の3号ソロ。過去に横浜スタジアムではフィルダー、巨人松井秀喜、DeNA筒香ら超一流スラッガーが場外弾を放っており、プロ1年目のルーキーが早くも飛距離で肩を並べた。

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右中間への場外弾を見て、阪神にとって、佐藤輝は神様にすがりたいほど欲しい存在だったことが、うなずけた。昨年のドラフト会議の数日前。近大・田中秀昌監督(64)は関西学生野球の会場で、阪神畑山アマ統括スカウトと顔を合わせた。しかし、佐藤輝について全く聞かれない。これは指名はないのか…。畑山スカウトの心の中は、全く違った。「あの時はすぐそばに記者がいたから、佐藤君の話ができなかっただけです」。ドラフト指名後に、田中監督にそう明かしたという。内心はあふれ出しそうな熱量があった。

実はドラフト会議で東京に向かう直前、畑山スカウトは奈良県にある生駒神社と宝山寺をお参りしていた。そこは、近大野球部が毎年練習始めに必勝祈願に訪れる場所。「佐藤君の交渉権を引き当てることができますように…」。近大出身の同スカウトにとって、佐藤輝は後輩にもあたる存在。思いは実を結び、ドラフト1位ルーキーは新人離れした放物線で、期待に応えている。【阪神担当 磯綾乃】