4月に阪神担当に異動し、1カ月半が過ぎた。社会人は4年目だが、記者は1年目。新たな気持ちで働く日々で、同じ“新人”の佐藤輝明内野手(22)の言動に、1年目から活躍できるヒントがあるのではないかと考えた。世間では、新社会人となる方々も、働き始めて1カ月半が過ぎた頃。ドラフト1位ルーキーから、共に学びましょう。

佐藤輝から学ぶ<1>コミュニケーション能力 19日ヤクルト戦(甲子園)の試合前。これまで、甲子園バックネット裏の記者席から試合を見ていたが、室内練習場に行き、初めて“グラウンドレベル”で佐藤輝を見た。印象的だったのは、あいさつをしっかりしていたこと。「厳しい上下関係で鍛えられたアスリートなら当然」という意見もあるかもしれないが、187センチの体をかがめ、矢野監督に「おはようございます」と周囲にも聞こえる声量であいさつしていた。安打を打った時には、他球団の先輩と塁上で会話する場面も見られる。物おじせず、先輩や上司とコミュニケーションを取ることは、1年生にとって大切なこと。佐藤輝はきっちりと実践している。

佐藤輝から学ぶ<2>ミスをしてもめげない 4月23日DeNA戦(甲子園)では、5回1死満塁で右前打を後逸すると、打者神里まで生還。右翼・佐藤輝の失策で4点を献上した。ただ、ルーキーはそこで下を向かない。9回に意地の二塁打を放つと、翌日24日にはプロ初猛打賞&4打点。「昨日の悔しさをぶつけました」とバットで取り返した。試合前練習では筒井外野守備走塁兼分析担当コーチから、右翼で付きっきりで指導を受け「グラブを下につけるとか、天然芝なので頭に入れながらやりました」。同じ失敗を繰り返さないよう分析し、即実践できる姿勢が、成長につながると学んだ。

佐藤輝から学ぶ<3>“自分らしく”働く 佐藤輝の学生時代の友人に取材すると、口をそろえて「マイペースな性格」と言う。矢野監督も開幕前日の3月25日には「変わらないというか、10年目みたいなプレーやし、緊張してるんか分からないし、ある意味鈍感力というか、プラスの意味である選手」とうなった。20日現在、両リーグ断トツの60三振を喫しているが、強振を貫き10本塁打。プロに入っても、思い切り自分を表現できる22歳。自己中心的になりすぎてはいけないが、“自分らしく”働くことの大切さがよく分かる。

記者自身も含め、職場で「少しだけ環境に慣れてきた」と感じているそこのあなた! 「五月病」とは無縁の、虎の“できる新入社員”を見習って、引き締めていきましょう。【阪神担当=中野椋】