25日、小雨を避けるように、札幌ドームの通路を歩いていると「背番号6」のユニホームを着た女性ファンとすれ違った。試合開始には、まだ4時間以上もある。迷うことなく入場の列に加わった姿を見た時、何とも言えない寂しさを覚えた。「私たち」の背番号6は、もう、いないのだ。
同僚選手への暴力行為で無期限謹慎処分となっていた中田が20日、日本ハムから巨人へ無償トレードとなった。再出発の機会が与えられホッとしたと同時に、入団当初からずっと見守ってきたファンの心中を察すると、今回の経緯には、やるせなさが残った。
理由は2つある。処分の際、しかるべき責任者が会見を開き対応した日本ハムが、処分解除を伴う今回のトレードについては、栗山英樹監督(60)だけに説明をさせたのが、まず1つ。もう1つは、コメントは発表したものの「日本ハム中田」として謝罪の場がなかったことだろう。結果的に移籍先で謝罪をする形になったことについて栗山監督に聞くと「それは、ごめんなさい」と、苦しそうに謝られた。
栗山監督の言い分をまとめると、こうだ。中途半端な謝罪ではなく、中田自身が「ちゃんと考えて、ちゃんと反省した自分の言葉で」発言する必要があったため、このタイミングになったとのことで、これは、ふに落ちた。移籍先での謝罪は「これだけ野球界や社会に影響を与えているということは、日本全国に謝る必要がある。だから、一番目立つところで謝らせた。それが一番、苦しいんだ」と説明した。この部分について、監督の考えは理解したが、個人的には今でも納得できていない。
球団は被害にあった選手と中田、双方にとっての最善策を模索したのだろうし、難しい決断だったはずだ。2人の選手の未来は、応援したい。ただ、釈然としない対応に、後味の悪さは残ってしまった。【日本ハム担当=中島宙恵】




