北海道は朝晩の気温がぐっと下がり、すっかり秋めいてきた。そんな中、真夏の東京五輪でメダルを獲得した少女が、札幌ドームでファーストピッチを行った。北海道出身でスケートボード女子パークの開心那(ひらき・ここな=13)だ。夏季五輪史上、当時12歳での出場は日本最年少。メダル獲得も最年少だった。その1投は、球団にとって、意義深いものだったに違いない。

日本ハムが、未来のスポーツ界を担う道産子を支援しようと立ち上げた「ファイターズクラウドファンディング~be Ambitious~」が、今年6月に終了した。この間、球団の抜群の知名度を生かして寄付を募り、開をはじめ、4人の道産子アスリートの活動を後押しした。第1号はノルディックスキー女子ジャンプの渡辺陽(みなみ=24)。参加した球団イベントが縁となり、地元企業への所属が決まった。第2号は17年に国内最年少プロとして話題になったビリヤードの平口結貴(24)で、最高額となる240万円以上の寄付を集めている。「プロスポーツというのは、地域の人たちのためにあるものだと思う。北海道に住んで生活する人たちが発展するために、いろいろな協力ができる。(球団は)その象徴であるべきものだと思っている」。栗山監督の言葉は、重い。

チームが東京から北海道に本拠地を移して、今年で18年目。「もっともっと幅を広げて、発想を豊かにしてやっていくべき」(栗山監督)。残念ながら今季、チームは最下位に低迷しているものの、プロ球団の存在意義は、グラウンドの外にも、いっぱいある。【日本ハム担当=中島宙恵】

日本ハム対ロッテ 試合前、ファーストピッチセレモニーをする東京五輪スケートボード女子パークで銀メダルを獲得した開心那(撮影・佐藤翔太)
日本ハム対ロッテ 試合前、ファーストピッチセレモニーをする東京五輪スケートボード女子パークで銀メダルを獲得した開心那(撮影・佐藤翔太)