今年は寅(とら)年。虎の年。阪神がこの干支(えと)の年に作った日本記録は、永久に残るものとなりそうだ。プロ野球初の寅年は、1938年(昭13)だった。当時は春と秋の2シーズンが行われており、当時のチーム名は「タイガース」。石本秀一監督のもと、春のシーズンを制した。まだ1リーグ時代で、8球団が各5試合の総当たり35試合で競った。タイガースは29勝6敗で、2位巨人に大差をつけての優勝。勝率8割2分9厘は、現在に至るもプロ野球のシーズン最高である。よほどのことがない限り、これを上回る勝率を記録するチームは出ないだろう。

この年のタイガースは、短期決戦の春季リーグを7連勝という開幕ダッシュで飛び出し、そのままゴールした。4番の景浦将は31打点、投げてはエース西村幸生が防御率1・52でそれぞれでタイトルを獲得。チーム打率2割6分8厘、得点212も断トツだった。

この勝率8割2分9厘。わずか35試合とはいえ、すさまじい数字である。35試合消化時点での2リーグ分立後の最高勝率は、50年松竹の8割2分4厘(28勝6敗1分け)で、その上を行く球史に残るハイペースである。ところで、2リーグ分立後の阪神にとって35試合時点での勝率最高は、昨年の7割6厘だった。5月9日DeNA戦(横浜)に勝ち、24勝10敗1分けとした。ところがシーズン後半戦でヤクルトの逆転を許し、優勝はならなかった。

阪神は62年の寅年にも、2リーグ分立後の初優勝を飾っている。今年は昨年の二の舞いとならないよう、縁起のいい寅年の再現を目指したい。【記録室 高野勲】